こんにちは、湘南店の駒田です。
先日、稲木中央公園にて開催されたTCR試乗会に行ってきました。
今回は新しいTCRの乗り心地を中心に、どんな風に変わったのか、ずばり「買い」なのか、そんなことをつらつらと書いてみようと思います。
ひとまず先のトム・デュムラン来日イベントの際の写真も交えつつ、第9世代からの変更点を見ていきます。
まずはフレーム形状から。
初めて新型の情報が出たとき、横からのイラストだけだったので変更点が全くわかりませんでした。
せいぜい(予想通り)フル内装になってホースが消えたな、くらいでした。
実際に見ても、見た目上はダウンチューブの形状が変更になったくらいに見えます。
第9世代はほぼ完全なティアドロップ型でしたが、楕円の後ろ側をスパッと切り落としたカムテール形状(トランケイテッド・エリプスというんだとか)を基本としたチューブ形状になっています。
ほぼ半円形だった前世代に比べやや角張った、食パンを逆さまにしたような形状になっています。
さらにシートポストの形状も変わりました。完全なティアドロップ形状だったものがD型断面になって乗り心地にも貢献するようです。
また、リムブレーキ台座の為に広がっていたシートステーの間の部分もなくなっていることがわかります。
先代からディスクブレーキ前提のフレーム形状になっていましたが、リムブレーキ車を作るという制約がなくなったのはこの世代から、ということになります。
そして最大の変更点はケーブル・ホースが完全に内装化されたこと。
PROPEL、DEFYに続き、ついにフル内装化。
コの字型のステムでケーブルをフレーム内部に引き込む方法のため、実はハンドルの選択肢がかなり広く、内装に対応するしないに関わらずありとあらゆるハンドルが使用可能。
そんなことを考える人はなかなかいないとは思いますが、フラットハンドルをつけることも可能です。(ちょっとやってみたいので、ご相談下さい…笑)
外観の変更点は以上。正直そこまで大きく変わった印象は薄いですね…?
大きく変わったのは中身、ということです。
軽く、固く、速いバイクに仕上がった、とは先のイベントでも触れられていました。
その実力を普段はLANGMA ADVANCED PROに乗っている駒田が確かめに行ってきた、というわけです。
今回試乗したのはTCR ADVANCED SL0
の2台。
この2台を稲城中央公園(つまり尾根幹周辺)のアップダウンのあるルートを走ってきました。ルートには緩斜面から8%程度の急斜面も含まれます。
時間にして約40分、距離にして15キロくらいでしょうか。登って下って、止まって走ってといろいろと試してみることができました。
SL0はまさにフラッグシップモデル。
先行発表されたCADEX MAXホイールを装備、このモデルのみに採用されているThinLine ペイントテクノロジーによりさらなる軽量化が図られたモデルです。
塗料の配合等を工夫することで塗装幕を薄くし、美しさと軽さを両立しています。
完成車重量(Mサイズ)で6.4キロと非常に軽量。UCIの規定を守る必要がある場合はこれ以上軽くなる必要はありませんが、多くのライダーにとっては軽さは正義です。
まずはこちらから試乗していきます。
受け取った段階で「軽い!」と言うのが第一印象。
乗りはじめは極端に狭いハンドル幅(ブラケット部で370㍉)と普段と違うポジションのせいもあってやや窮屈に感じましたが、慣れてくると自然に笑みがこぼれるほど楽しくなってしまいました。自覚はあまりなかったのですが、満面の笑みで戻ってきていたそうです…笑
何よりよく進む。2~3%の緩斜面は平地なのではないかと思うほどスイスイと進みますし、急斜面もグイグイと背中を押されているような感覚で登っていけます。
シッティングで乗るのがとても気持ちよく、ダンシングも表現が難しいですが安定感がありました。
これは乗り慣れたらとんでもなく速くなりそう…!
実力以上のスピードを出した(出てしまった)せいでかなり消耗しましたが…汗
CADEX MAXホイールはかなり剛性が高くなっているとのことですが、その恩恵は十分に感じることができました。
踏めば踏んだだけ進むような印象のホイール。単体でも金額的にはかなり高額ですが、十分にその価値はあると思います。
ちなみに・・・CADEX MAXホイールは120%の大幅値上げがすでに発表されています。4月30日までの受注分は価格据え置きとのことなので、猶予はあと数日…!お早めにご相談下さい!
剛性が高まって心配なのは乗り心地の部分ですが、CADEX RACE GC TIREのおかげなのか突き上げも少なくなっているように感じられます。
転がりも良く、コーナーリング時のグリップはかなりの安心感がありました。
総じて登りにはめっぽう強く、平坦でも高性能な超オールラウンダーといったところ。
続いてPRO0。
こちらはセカンドグレード。とはいえ他メーカーのセカンドグレードとは一線を画す高コスパ車体。
XSサイズで7キロジャストとのことで十分に軽い車体ながら、さすがにSL0の後だと重たく感じます。SL0が軽すぎる…!
ほぼ同じコースを走ってみて、スピード(というか加速感)はさすがにSLには及ばないなぁといった印象。
しかしながら、足当たりは優しくしなやかな感じでスムーズな走り心地。
ロングライドを考慮するならあえてPROグレードを選択するのも良さそうです。(多分SLは足が売切れたら地獄…)
カーボンスポークを使用し、剛性の高いホイールに仕上がっているSLR0 40ですが、むしろ乗り心地の良さに繋がっているように思います。
総じて良く進み、登りも下りも安定感抜群なオールラウンダーな性能と言えそうです。
ベースグレードのADVANCEDはもっと優しい感じになっているのではないかと思います。
試乗会を終え、帰宅するのに自分の車体に乗ってちょっとがっかりしました。
登り(特に急斜面)は遜色ない走りをしてくれるのに、平坦寄りになると途端に伸びが無いというか。
いろいろとカスタマイズしたうえでこれか、という感想でした。ぐぬぬ…
一度乗ればわかるほどに軽く、速いバイクになっており、間違いなくこれは「買い」です。
乗り換えで迷っていた方は絶対に間違いのない1台ですのでぜひ試してみて頂きたい。
今後、BIKEPORT としても試乗会を企画したいと思いますのでご期待ください。
以前試乗したGIANTの他の車種とも比較してみます。
PROPELはTCRがリニューアルされるまではTEAM JAYCO ALULAでもずっと使われていた通り、登りもこなせるオールラウンダーです。
平坦や下りは恐ろしく速いですが、さすがに登りは(以前のバージョンほどではないにしろ)脚力が必要です。
乗ってみた印象としては、少々(特にダンシングした時に)ひらひらとした感覚があるバイクで、ややピーキーな印象でした。
そのPROPELと比較すると、どこにも変なクセや角がなく扱いやすいうえ、剛脚さんから普通寄りの人まで問題なく乗りこなせる懐の深いバイクだと言えると思います。
DEFYの圧倒的な乗り心地の良さは何物にも代えがたい魅力といえます。新型は重量も軽くなって走りも軽く、優秀なバイクです。
足当たりの柔らかさ、突き上げの少なさ…これほど乗り心地が良いバイクを他に知りません。
しかしながら、瞬発力や巡航速度という点では物足りなく感じる部分もありました。
富士ヒルをはじめ、レースと名の付くものに出たいのであれば間違いなくTCRに軍配が上がるでしょう。
間違いなく今買うべきバイクの1台。
積み上げ価格から考慮すると完成車はかなりお買い得な価格設定。特にPROグレードは価格破壊レベルだと思います。
今から注文すると半年ほど待つモデルもありますが、来年も継続になることは確定しているのでまだまだ注文は可能です。
担当さんによるとSL0、フレームセットのオパールが特に問い合わせが多いとのこと。
ちなみに駒田はオパールの入荷を待っています…(今月届くはずだったのに…!)
はじめての一台でも乗り換えでもイチオシですので、店頭にてご相談下さい。
ベストなバイク選びのお手伝いをいたします!