皆様、こんにちは!!
bikeport新宿都庁前店の奈須野です。
ある日のことでした。
以前、私が記述した記事をご覧になって、お客様がご来店になりました。
お話を伺うと、お使いの電動自転車 MATEの制動力に不満がお持ちとのことで、なんとかしてほしい、というご依頼内容でした。
以前ご紹介した記事では、ローターを大口径化、SHIMANOパーツに交換、パッドをハイグレードのものにすることで、制動力のアップを狙いました。
しかし!!
今回は、制動力アップを根底から再構築する、というお話になりました。。
すなわち!!
ブレーキレバー、油圧ホース、油圧キャリパー(ブレーキ本体)、ローターを一式、SHIMANOのハイグレードモデルに交換することに致しました。
予算は¥50,000以内、その中でパーツ選定はお任せ、となりました。
それでは、パーツ選定から開始です!!
お任せコースという場合、最初に、大方針を決めるのが吉です。
今回は予算枠が¥50,000と潤沢にあるため、贅沢なパーツ構成ができそうです。
とはいえ、広くまんべんなく予算を分配するのではなく、効果的な部分には分厚く、差が出にくい部分には節約してパーツ選定をしていきます。
まず、ブレーキシステムで、制動力が発揮できるのは、フロント側です。
リアはすぐにタイヤがロック、滑るため、過度に制動力があっても宝の持ち腐れとなることが多いです。
これに対して、フロントは車体がひっくり返るくらいのレベルでなければロックしません。
もちろん、本当にひっくり返った場合は大変に危険でございますが、今回はフルサスペンションの電動自転車で車重があり、重心も低いため、少し冒険をすることに致しました(当然のことでございますが、車体メーカー保証対象外のカスタマイズで、それぞれの方の自己責任となります)。
うむうむ!!
これで大方針は決まりました。
フロントに予算を多めに分配し、ローターも制動力の高い大口径のモデルを使う。
リアは現状よりも制動力の改善を狙い、それ以上にレバーのタッチ、フィーリング、官能性能の向上を狙う。
次に、具体的なパーツ選定に移ります。
油圧ディスクブレーキに限らず、レバーの選択というのは重要です。
どの分野でもそうだと思うのですが、人間が直接触れる部分の質感、重さ、触り心地、温度いった要素は、使用者の心理、満足感に与える影響が大きく、極めて重要な部分であると考えます。
しかし、低コストパーツ、製品の場合は、最低限の性能を実現するのに手一杯で、官能性能まで手が回らないことがあります。
しかししかし!!
それでは日々、バイクに乗っていたときの気持ち、心地良さが充実しないのです。
(あくまでも個人的見解です。)
そこで、今回は、SHIMANO SLXグレードのブレーキレバーを採用致しました。
SLXグレードはレースやダウンヒルでも使用可能なクオリティがあり、かつ、レバーの出来がとても良いです。
レバー自体の形も洗練されていて、バイクの美しさを一層引き立ててくれます。
また、ブレーキホースは高圧時にも膨らみにくく、カチッとした感触、反応性が良い、高剛性モデルのホース、SM-BH90を使いました。
ブレーキキャリパー(本体)もSHIMANO SLXグレードです。
ブレーキキャリパーの接続口はバンジョータイプという、太鼓のような形をしています。
なお、ロードバイク界では、レバー、キャリパーのともに接続口がストレートタイプという筒状のものがほとんどです。
MTB用のブレーキホースを発注するときは間違えないよう、注意致しましょう。
今回もっとも重視したのはフロントブレーキで、しかもローターです。
標準では160mmのローターが装着されておりました。
ところで、ローターは直径が大きいほど制動力が増していきます。
概ね、1サイズ、大口径化すれば、10-20%ほど制動力が上がっていきます。
SHIMANOのローターには、160mm、180mm、203mmと、ラインナップがございますが、今回は、制動力のアップと、見た目のインパクトを狙って、一段階飛ばして203mmローターを装着することに致しました。
さらに!!
ローターはブレーキ時に、一気に温度があがり、数百度といった温度に上昇することもあります。
そして、あつあつのローターは制動力が落ちるため、放熱対策が重要なのです。
そのため、上位モデルのローターは放熱の工夫が随所に凝らされております。
まず、放熱フィンです。
SHIMANO ICE TECHNOLOGIES FREEZAによる放熱フィンが搭載されています。
個人的にフリーザ様(注:ドラゴンボール参照)と呼んでいる放熱フィンがローターの内側に配されています。
ところで、通常見かける放熱フィンは金属の色そのまま、シルバーでございますが、XTRモデルは真っ黒です。
これはどういうことかといいますと、放熱フィンの表面に高放熱ペイントを施すことで、「究極の放熱性を実現」(SHIMANO談)したのです!!
SHIMANOをして、「究極」と言わしめるその性能はダテではなく、フリーザ様と放熱ペイントを装備したXTRローターは、従来の大口径220mmローターと比べて、過酷な条件下で使用した場合、100度もの低い温度で動作することに成功したのです。
203mmのほうが小径であるため、放熱上、不利にも関わらず、従来の220mmローターよりも放熱性能に優れる。
あっぱれであります!!
今回は、このRT-MT905を贅沢にも装着致しました。
さすがXTR、ディスクローター1枚だけで¥10,695(税込)という、周囲の者共をひれ伏させる、剛毅な価格設定となっています。
さらに、お持ち込み頂いたサスペンションフォークは160mmローター対応のものでありました。
大口径ローターに対応させるべく、アダプタを装着しました。
ローターが大口径化するということは、パッドの当たる位置もホイールの中心部から見て、より外側、遠くになるということです。
そのためアダプタで背の高さを稼ぎ、キャリパー、パッドの位置を調節してあります。
リアブレーキレバーはフロントと同様、SLXに致しました。
性能面からすれば、DEOREでも良かったのですが、左右統一したほうが美観的によかろう、という判断です。
リアブレーキキャリパーもレバーと合わせてSLXです。
リアのローターは費用を抑えるべく、SHIMANO DEOREに致しました。
DEOREとはいえ、ほとんどのクロスバイク標準のローターよりハイグレードですし、今回の狙いどおり、十分な性能を発揮してくれるでしょう。
なお、160mmローターにとどめたのは、160mmよりも大口径のローターにした場合、チェーンステイに当たってしまうからです。
リアにもアダプタが装着されておりますが、これは標準で装備されていたようで、フレームがインターナショナルスタンダード、キャリパーがポストマウントにするための変換アダプタです。
2022年現在では、インターナショナルスタンダードのブレーキキャリパーはごく少数派となりました。
完成です!!
パーツ代、工賃を含めて、¥49,529(税込)となりました!!
換装前とくらべて、圧倒的に良好なフィーリング、剛性感です。
どうだ!!と言わんばかりのXTR203mmローターが小気味好いです。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeport新宿都庁前店の奈須野でした。
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