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新宿都庁前店 / 26インチMTBを27.5インチ、ディスクブレーキ化する DT SWISS G1800

皆様、こんにちは!!
bikeport新宿都庁前店の奈須野です。


1 26インチという制約
(1) ある日のことでした。
20年ほど前のモデルと思われるMTBにお乗りのお客様がご来店になりました。
お話を伺うと、フロントホイールをディスクブレーキ化したい、可能な限り品質の高いものにしてほしい、¥100,000くらいかかっても構わない、とのことでありました。

(2) 私は内心、うーーーむ。。。と思いました。

まず、ご予算をたくさん頂けるのはありがたいです。
フロントサスペンションも当然、ディスクブレーキ対応です。
しかし。。。

現行のMTBはほとんど全て27.5インチホイールに移行済みです。
しかし、お持ち込み頂いたMTBは、26インチホイールなのです。

はっきりと申し上げて、26インチホイールで、ハイエンドのものは(市販品、いわゆる完組では)存在しません。
どのブランド、メーカーも26インチホイールは、(大変失礼ながら)力を入れていないからです。
かろうじて、エントリー向けの補修ホイールといったものがぽつぽつ生産されているだけで、これではお客様の、可能な限り品質の高いものを、というご要望にそえないことになります。

(3) 次に、26インチのリムを用意して、手組みにする、という方法があります。
しかし、26インチのリムもそれなりのクオリティのものは選択肢が極端に少なく、ハブ、スポーク、ディスクブレーキローターに良いものを選んで手組みをした場合、逆に¥100,000という予算では足りません。
もちろん、予算が無制限にある場合は、悪くない選択肢といえましょう。
しかし。。。


2 離脱
(1) どうしたものか。
あれこれと考えた挙げ句、性能向上を目指すのであれば、26インチという制約から離脱することにしました。

現行の27.5インチホイールであれば、大量に生産されていますから、いわゆるコストパフォーマンスに優れたホイールがいくつもあります。

そして、ホイール径を変更した場合、従来のリムブレーキであれば、ブレーキシューの当たる位置が大幅に変わるため、(通常は)ブレーキがうまく作動しなくなります。
(オフセット対応のブレーキキャリパー、シューを使う、という変則技はあります。)

しかし、今回はディスクブレーキ用のホイールを作ろう、というお話です。
ホイール径が変わろうとも、ホイールの中央に装着されるディスクローター、パッドの位置は同じですから、ブレーキシステムの影響は受けません。

(2) 問題があるとすれば、そもそもフレームに入るのかという問題です。
この点は、十分に確認し、タイヤを細めのものにする(つまりホイール全体の直径を小さくする)ことでクリアできそうです。

よし!!
この方針で行きます。


3 パーツ選定

(1) ご予算の範囲と、お客様の好みを十分に伺い、パーツ選択に入ります。

27.5インチホイールで、細いタイヤに対応したもの、これはちょっぴり矛盾した要望です。
というのも、27.5インチホイールとは、MTBによく使われるホイールです。
MTBはその名の通り、山、悪路を走ることを主軸に開発された車体です。
そうだとすれば、タイヤはグリップ力の高い、太いものが良いとされます。
そのため、タイヤにあわせてリムも幅広のものが採用されます。

しかし!!
MTB、27.5インチホイールであっても、そこまで太いタイヤでなくてもいいかな、街乗り用にカスタムしたい、といった一定の需要があるのです。
このような声に応えるべく、細いリム幅の製品が存在します。
今回はそういったラインナップから選択することに致します。

今回は、高品質なホイールを生産している、DT SWISSを選びました。
G1800 Spline db 25 ¥34,100(税込)です。
650bとも言われているホイールです。

(2) お話がそれますが、少しホイールの規格をお話致します。
スポーツバイク界において、多くの方に馴染み深いのは、700cという規格ではないでしょうか。
いわゆるママチャリ界では、26インチ、27インチといった規格が多くなります。
この違いは、歴史的経緯によるものです。

スポーツバイク、特にオンロードバイクのレース、開発の中心は、かつてはヨーロッパ一強でした。
それも大陸諸国、フランス、イタリアといった諸国が中心でありました。

そのため、オンロードバイクはフランス規格が事実上の標準となっていきました。
これが、700cと言われる規格で、cというのはセンチメートルのセンチではなく、フランスで存在したa,b,c,dというタイヤの太さを表すものだったのです。
cという規格のタイヤを履くと、だいたい直径が700mmくらいになるホイール、という意味でした。

しかし、時代は変遷し、スポーツバイク界ではどんどん細いタイヤが人気となっていきます。
そして、700cホイールを使いながらも、直径が700mm以下になるという状態になり、今に至っているのです。

650bもこのフランス式の表記で、bサイズのタイヤを履くと、だいたい直径が650mmになるよ、という意味です。

しかし、このフランス式、ホイール全体のサイズは分かりやすいのですが、リムの直径は直接規定しておらず、様々な規格が乱立してしまう結果となりました。
そのため、タイヤやチューブがうまく装着できない!!という現象が頻発し、不便極まりないことになりました。

そこで、もう、リムの直径を規格として定めようじゃないか、という動きとなり、ETRTO エトルト という規格が世界標準となったのです。
(最初からリム径中心主義で規格を決めておけばこのような事態にはならなかったのですが、乗り手からすれば、タイヤを装着したホイール全体の大きさが乗り心地、走破性に大きく影響するため、まずホイール全体の大きさから決めてしまったのでしょう。)

なお、26インチ、27インチという表現はイギリス式のもので、明治時代の日本が、英国、米国から実用車を輸入していたことに由来すると思われます。
この26インチ、27インチというのも、外形がだいたい26インチくらい、27インチくらい、という意味しかもっておらず、リム径そのものは規定していないのです。

すこし回り道をしましたが、現代の650bホイールは、27.5インチホイールと同じETRTO 584mmのものを使っています。
つまり、27.5インチホイールに細いタイヤを履かせたものを650bと称しているに過ぎないのです。

さて、今回はいわゆる650bホイールを使うことにします。
実際は27.5インチホイールのリム幅が狭いもの、より正確に言えば ETRTO 24-584です。

DT SWISSを選んだのは、ホイールそのものが高品質ということもありますが、ハブの変換パーツを販売しているからなのです。
つまり、今回のバイクはディスクブレーキでありながら、クイックリリース式で固定します。

現代のパフォーマンス系MTBは、はぼ全てスルーアクスルに移行済みですから、高価格帯のホイールでクイックリリース式というのは、存在しないのです。
しかし、DT SWISSであれば、前述の通り、変換パーツが販売されているため、クイックリリース式に変換が可能です。

これで予算面と品質面を両立させることができました。

(3) 続きまして、ローターです。
これもハイクオリティーのものを、というお客様のご要望を満たすべく、今回はSHIMANO ULTEGRAグレードのものを採用しました。
RT-CL800 ¥6,750(税込)というものです。
オンロードバイク用のものを採用したのは、オーナー様が街乗りにお使いになるということで、軽量化もある程度は意識したほうがよかろうと判断したこと、MTB用ローターよりも、オンロードバイク用ローターの方が音鳴りがしにくく、街中で目立ちにくいこと、ULTEGRAであれば(私個人の使用経験から言っても)制動力に不足があるとは思われないこと、といった理由です。
ローター径はオンロードメインであれば、160mmで十分と判断しました。

なお、固定方法はセンターロック式と致しました。
採用した理由は、そもそもホイールがセンターロック対応であったこと、センターロック式のほうが固定力が高い、整備性が良い(着脱が素早くできる)からです。

センターロック式の場合、さらに、内セレーションと外セレーションという固定方式があります。
ロックリングの切り欠きが内側にあるか、外側にあるか、という違いで、ほとんどのバイクであれば深く考えなくても大丈夫でありますが、ビンテージバイクの場合、フロントフォーク、サスペンションと干渉する可能性があるため、十分にサイズをご確認ください。
今回は、フロントサスペンションに干渉するため、内セレーションのものを採用しました。

(4) タイヤも可能な限り高品質なものを選ぶべく、MAXXISのオーバードライブ 27.5×1.65 ¥5,060(税込)を選択致しました。
ブロックパターンが控えめ、軽量で、今回のような街乗りメインのMTBにぴったりのタイヤです。
太さも1.65インチ、おおよそ42mmでして、これは最も普及しているママチャリの26インチタイヤとほぼ同じ太さですから、街乗り適性は折り紙付きです。

(5) ブレーキキャリパーは、SHIMANO機械式で、もっともクオリティの高い、BR-R317を採用しました。
油圧式にしなかったのは、オーナー様の意向です。

ビンテージバイクの場合、ブレーキ本体の取付方法にも注意します。
現代では、オンロードバイクはフラットマウント、MTBはポストマウントという規格でほぼ統一されています。
しかし、かつては、インターナショナルスタンダード(IS)というものが一般的で、今回のバイクもISです。

IS規格には、現代のブレーキキャリパーはそのままでは装着できないため、変換アダプタを使います。
SM-MA-F 160 P/S 2というものです。

まずサスペンションに変換アダプタを装着し、その上に、ブレーキキャリパーを装着します。

タイヤを細くしているため、サスペンションのアーチにも干渉しません。
換装前

換装後


4 完成
完成です!!

パーツ代、工賃を含めて¥89,207(税込)となりました。
bikeport新宿都庁前店では、様々なビンテージバイクのカスタマイズをお受けしております。

本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeport新宿都庁前店の奈須野でした

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