新宿都庁前店お手軽フロントシングル化 / GIANT CONTEND ジャイアントコンテンド

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皆様、こんにちは!!
bikeport新宿都庁前店の奈須野です。

ある日のことでした。
GIANT CONTENDにお乗りのお客様がご来店になりました。
そして、フロントシングル化をしたい、というお話になりました。

フロントシングル化、それは現在のオンロードバイク界において、一つのトレンドになっている動きです。

フロントシングル化とは、通常は2枚あるフロントチェーンリングを1枚にすることを言います。
1枚にすることのメリットとしては、まず、様々なパーツを減らせる、軽量化ができる、というメリットがあります。

具体的には、
チェーンリングが1枚減ります。

フロントディレイラー、各種ワイヤーが不要になります。
(ワイヤーは無視できない重量で、フロントディレイラーと合わせて200g近い軽量化が可能でしょう)

STIレバー内部の変速機構が不要になるため、軽量なタイプに換装可能です(50gほどの軽量化が可能です。なお、詳述は避けますが、STIレバーは車体の最も高い場所に位置します。支点であるタイヤから距離があるため、わずか50gでも慣性モーメントが大きくなり、車体がふられやすくなるのです。)。

フロントが2枚の場合、チェーンラインが非効率的になる(いわゆるたすき掛け)ことがあります。
しかし、フロントシングルであればチェーンラインが単純化され、駆動効率が上がります。
(もっともこれは、たすき掛けをしないようにすれば良いのであって、直ちにフロントダブルの欠点とは言い難いでしょう)

といった利点があります。

さらに、フロントシングルが近年注目されるようになったのは、そもそもフロントシングル化が可能になる下地が揃ってきたからと思われます。

まず、11速化、12速化というように、リア変速段数が増えたました。
このおかげで、小さいギアから大きいギアまで、ギア比の落差が少なく変速可能になりました。

ところで、ヒトは急激な負荷の変動に弱い生き物です。
いきなり重いものを持ち上げたり、逆に急に軽くなったりといった状態が続くと、一気に疲労が蓄積されます。
(極端な例として3段変速 11-23-34Tといったリアスプロケットがあった場合、ギア比があまりにも大きく変動するため、身体に対する負荷が大きく、非常に使い勝手が悪い乗り物になるでしょう。これが11速ということになれば、11-13-15-17-19-21-23-25-27-30-34Tとギア比が15-20%ずつ変動するようになっていますから、疲れにくくなるのです。)

また、リアディレイラーの可動範囲が増えて、巨大スプロケットを操作できるようになった、という事情もあります。

このような下地が揃い、フロントが一枚でも良いのでは!?という動きに繋がったのです。

お話が少し脇にそれますが、MTBの世界ではフロント1枚が標準的になっています。
MTBの場合は、軽量化といいますよりも、走行中車体が暴れるため、チェーン脱落を防ぐ工夫の一つとして、フロントシングルが好まれます。
また、ロードレースほどは、なだらかなギア比変動が求められない(ロードレースに比べるとスタミナ勝負といった側面が薄いです)ため、フロントシングルでも構わない、という許容性があります。

さらに、少数ではありますが、ロードレースでもコースによってはフロントシングルを選択することがあります。

さて、お客様とお話をしている過程で、可能なかぎり費用を抑えてシングル化をしたい、というご要望を頂きました。
フロントシングル化で一番お金がかかるのは、チェーンリングです。
フロントシングルは、オンロードバイクではまだまだ少数派であるため、フロントシングル用のチェーンリングは大量生産されておらず、安価に流通していないのです。

チェーンリングは、可能であれば、ナローワイドと呼ばれる、チェーンリングの歯が、薄い歯、厚い歯といった交互に歯の厚さが異なるチェーンリングを使うことが理想的です。
ナローワイドチェーンリングを使うことで、チェーンをがっちりとつかみ、チェーン脱落を防止してくれるのです。

しかし、前述致しましたように、ナローワイドチェーンリングは一枚¥10,000くらいからと、あまりお安くありません。

費用を抑えるのであれば、従来型のチェーンリングを1枚歯として使うのがよろしいです。
これであれば、¥3,000くらいで調達可能でしょう。
そもそも、従来の歯が、ナローワイドでも無いのにチェーン脱落しないのは、フロントディレイラーのガイドが両脇から支えてくれているからなのです。
そうだとすれば、従来のチェーンリングでも、フロントディレイラーを撤去しなければ、チェーン脱落はほとんど起きません。
この作戦が最も安価にフロントシングル化のできる方策です。

次点としては、フロントディレイラーを撤去し、チェーンデバイスと呼ばれる、ミニフロントディレイラーのようなものでチェーンを挟む、という方法があります。
しかしながら、従来のチェーンリングを使って、わざわざフロントディレイラーの代わりにチェーンデバイスを設置するくらいであれば、ナローワイドチェーンリングのみ、が素直なフロントシングル化となると思われます。

お客様とお話をしながら、どのくらいの大きさのチェーンリングにするか決めていきます。
今回は、標準のアウターよりは少し小さく、インナーよりは大きいものに致しました。
TIOGA チェーンリング 46T ¥3,300(税込)です。

なお、技術的なことになるため、言及を避けておりましたが、チェーンリングにはいくつもの種類があります。
PCD(あるいはBCD)と呼ばれる、チェーンリングボルトの中央部を通る仮想円周の直径はいくつであるのか
ボルトの数は何本か
ボルトの配置はSHIMANO型か均等型か
といった違いです。
仕様を間違えると取り付けが不可能になるため、十分ご注意ください。

フロントディレイラーはそのままにして、ワイヤーを撤去するに留めます。

パーツを発注して、それでは作業開始です!!

チェーンリング、クランクセットを取り外します。