皆様、こんにちは!!
bikeport新宿都庁前店の奈須野です。
ある日のことでした。
ロードバイクをフラットバー化、フロントシングル化をしたい、というお問い合わせがありました。
フラットバー化とは、主にロードバイクで行われるカスタマイズで、ドロップハンドルをまっすぐなフラットバーにすることです。
その利点は、ドロップハンドルでは前傾姿勢が強すぎるため、それを緩和できること、ドロップハンドルよりもフラットバーの方がハンドル幅が広く、町中の狭い道、急な進路変更でも対応しやすいこと、などが挙げられます。
なお、フラットバーとドロップハンドルの横ハンドルポジョンはほぼ同じ位置にあります。
そのため、フラットバーにしたからといって、実は前傾姿勢が緩和される訳ではありません。
しかし、ドロップハンドルの場合は横ハンドルのポジションでブレーキをかけることができない(補助ブレーキモデルを除く)のに対して、フラットバーの場合は常にブレーキレバーに指がかかります。
同じゆったりポジションでも、フラットバーであればブレーキをかけやすくなるので、ドロップハンドルでは横ハンドルポジションを取るのがためらわれるような路面、交通状況であってものんびり姿勢を維持しやすく、そういった意味では実質的に前傾姿勢が緩くなっていると言えましょうか。
また、ライズバーなど、ハンドルバーの形によっては前傾姿勢が更に緩くなります。
ハンドルバーの幅については、通常のドロップハンドルでは幅400mmほどであるのに対して、フラットバーの場合は550mmほどでありまして、幅が広いものほどハンドリングが緩やかになるのです。
電子メールにて何度か作業内容の概算、費用をお伝えし、実際に車体をお持ち込み頂くことになりました。
後日、車体を拝見すると、GIANT ANYROADで、これは私の大好きなエンデュランスロード、ツーリング寄りのグラベルロードバイクです。
2019年まで存在したモデルで、2023年の現在では、REVOLT、CONTEND ARにラインナップが承継されています。
オーナー様はコンポーネントが古い(といってもそれほど古くはないのですが)ので、現行のシフターとの互換性があるかどうか心配しておられましたが、8段変速の場合、SHIMANOは長く互換性を保っております。
ところで、SHIMANO TIAGRA、SORA、CLARISにはフラットバー用のシフターというものが展開されています。
ドロップハンドルではなくて、クロスバイク等で使うための変速レバーです。
そして、オーナー様はコンポーネントが古い(といってもそれほど古くはないのですが)ので、現行のシフターとの互換性があるかどうか心配しておられましたが、CLARISは2017年にモデルチェンジをして、本車体も最新CLARISのものであったため、互換性に問題はありませんでした。
なお、旧型CLARIS 2400系と新型CLARIS R2000系で互換性が無いのは、まず、シフター(STIレバー)とフロントディレイラーです。
次に、BBの規格がオクタリンクからホローテックIIに変更になったため、クランクセット、BBの互換性もありません。
それ以外は幅広い互換性があり、シフター、リアディレイラーは世代を混在させても動作します。
シフターをフラットバー用のものに変更し、ハンドルバー、グリップは現行GIANTクロスバイクでよく使われているものをおすすめ致しました。
STIレバーとフラットバーでは各種ワイヤーの配線が異なるため、全て張り直しになる、とお伝え致しました。
フロントシングル化には複数の選択肢があります。
(1) まず、もっとも単純なのは、当初から搭載されているチェーンリングをそのまま使う、というものです。
チェーンリングを1枚にして、余分になったフロントディレイラー、左シフターを撤去します。
利点としては、作業内容が撤去だけで済むため、追加のパーツが不要、費用を抑えることができる、という点にあります。
(もっとも、チェーンリングの厚みが変わるため、チェーンリングボルトが追加で必要になることはあります。¥1,500ほどです)
欠点としては、チェーンの脱落がしやすくなる、ギア比が必ずしも適切ではない、という点があります。
ギア比が適切ではない、というのは、フロントシングル化をした場合、チェーンリングが1枚になるのですが、この1枚でライダーの要求するギア比を実現する必要があります。
どのような走行パターンを想定しているか、によって適切なギア比は異なりますが、市街地を走るということであれば、アウターとミドルの中間くらいのギア比が適切であることが多いです。
つまり、GIANT ESCAPE R3を例に取ると、フロントチェーンリングが48T、38T、28Tの3枚が標準では装備されています。
このESCAPE R3をフロントシングル化をする場合には、48Tと38Tの中間くらい、42T、44Tなどが使いやすいということです。
このように、チェーンリングをそのまま使い回すと、重すぎる、軽すぎるという状態が生じ、ギア比が適切とは言いにくくなります。
チェーンが脱落しやすくなる、というのは、通常のロードバイク、クロスバイクは、フロントディレイラーのチェーンガイドがチェーンの脱落を防止してくれています。
しかし、フロントディレイラーを撤去すると、この防御壁が無くなるため、するっとチェーンが脱落しやすくなるのです。
そのため、チェーンの脱落を防ぐために、フロントディレイラーを敢えて残す、チェーンデバイスと呼ばれるミニフロントディレイラーのようなパーツを付加する、というワザがあります。
(もっとも、シンプル化を志向しているにもかかわらず、フロントディレイラーを残す、チェーンデバイスを付加するというのは、やや本末転倒のような気も致します。)
(2) 次に、通常の新しいチェーンリングを1枚だけ装着する、というものです。
「通常の」というのは、後述する、ナローワイドチェーンリングではない、チェーンリングを装着する、ということです。
利点としては、前述しましたギア比の問題をクリアすることができます。
費用も比較的安価に済ませることが可能です。
しかし、チェーンが脱落しやすくなる、という問題は*、やはり残ります。
(3) 最後に、もっとも理想的なフロントシングル化の方法としては、フロントディレイラーを撤去して、適切なギア比のナローワイドチェーンリングを使うことです。
まず、パーツを撤去していくため、フロントシングル化の目的であるシンプル化という志向に合っております。
次に、ナローワイドチェーンリングというのは、その名の通り、チェーンの歯が、ナロー(narrow 狭い)、ワイド(wide 広い)と交互に配置されているチェーンリングで、この狭い部分、広い部分がちょうどチェーンの狭いリンク、広いリンクと噛み合うため、チェーンの脱落がしにくい、というものなのです。
マウンテンバイクの世界ではすでに一般的な技術でございますが、オンロードバイクの世界ではまだまだ珍しいチェーンリングとなっています。
欠点を申し上げるとすれば、先述しましたように、ナローワイドチェーンリングはまだまだ新しい規格で、先進的なパーツメーカーしか展開しておらず、価格が高止まりしがちという点にあります。
概ね、チェーンリングの価格は¥6,000-¥12,000というところでしょうか。
今回はお客様とご相談をして、(3)のナローワイドチェーンリングを装着することに致しました。
また、歯数は、お持ち込み頂いた状態では50T、39Tのものが装着されており、アウターチェーンリングと、ミドルの中間的な、44Tのものを装着することに致しました。
フラットバーについては、GIANT RXシリーズで使われているハンドルバーを装着することに致しました。
ハンドルクランプ経が31.8mmと、本格ロードバイクで採用されているハンドル経と同一です。
また、クロスバイクに採用されているだけはあり、量産されているため、お値段控えめながら、クオリティも高いからです。
パーツ代、工賃を含めて¥55,000ほどになる、とお伝えをして、をご了承を得ました。
パーツを発注して、作業開始です!!
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeport新宿都庁前店の奈須野でした。
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