皆様、こんにちは!!
bikeport新宿都庁前店の奈須野です。
ある日のことでした。
しばしばご来店になるお客様から、GIANT FCRのカスタマイズをしたい、とのお話を受けました。
FCRというのは、GIANTがかつてラインナップしていたオンロードバイクの一つで、フレームの縦剛性が高く、直線が得意なスプリンター型の車体です。
基本的なコンポーネントにSHIMANO 105を使う、という大方針だけ承り、あとは、お客様とお話をしながら、少しずつカスタムの方向性を決めていきました。
カスタマイズ前のようすです。
まず、ハンドルバーですが、ブルホーンバーが気に入っておられるとのことで、これはそのままにしておくことに致しました。
バーテープは巻き直しをすることに致しました。
オーナー様は体格が良く、パワー重視のライドスタイルと思われること、クルマのレースにも出ておられた方とのことで、そういう方は反応性の良いマシンを好む傾向にあることから、バーテープは薄手で、お色はシックなブラックと致しました。
厚いバーテープはクッション性が良いのですが、どうしてもハンドリング時に僅かなタイムラグがあるといいますか、反応性がやや劣ります。
むぎゅーっとハンドルを握ったときのダイレクト感も、薄手のバーテープの方が良好です。
GIANT STRATUS LITE 2.0 BARTAPE ¥2,640(税込)を採用致しました。
シンプルなシフトレバーが良い、とのご希望で、あれこれとご提案をしていった中で、サムシフトのレバーに一番ご興味を惹かれておられたようであったため、サムシフトレバーを採用しました。
私も少年の頃乗っていたMTBがサムシフトでございましたが、今となってはかなりマニアックなレバーです。
構造が単純であるため、パーツそのものの重量が軽い、現代のSTIレバーのように強引なワイヤールーティングをしていないためワイヤーが切断しにくい、といった利点があります。
DIA-COMPE ENE 11S サムシフター ¥23,100(税込)です。
このようなことを申し上げるのは憚られるのですが、決してお安くありません。
しかし、日本製だけあって、仕上げの精度はすば抜けて高いです。
フロントディレイラー、リアディレイラーには、R7000系のSHIMANO 105を装着しました。
フレームとのお色を調和させるため、リアディレイラーはシルバーのものに致しました。
クランクセットはとても悩みました。
オーナー様が現行のSHIMANO 4アームデザインがあまりお好みでないとのことで、(これは少し共感できます。かつてのように左右対称ではなくなったため、なんだか見た目がすっきりしないのです)、様々なクランクセットをご紹介しました。
米WOLF TOOTH、RACE FACEはもちろんのこと、ラ・クランクというマニアックなものまで。
しかし、オーナー様のパワー重視のライドスタイルを考慮すれば、プロの競輪選手にも愛用されている、SUGINOのクランクセットが最適と思われました。
そこで、今回は、かなり高価になりますが、SUGINO Mighty Tour901D ¥70,400(税込)を採用致しました。
これはBSA 68mmながら、SUGINO専用のボトムブラケットしか装着できないという、非常に珍しいクランクセットです。
その剛性は確かなもので、ペダリング時のパワーを余すこと無く推進力に変換してくれます。
なお、専用のボトムブラケットは標準で付属してきます。
チェーン、ワイヤー類も全て新しいものに交換致しました。
今回、もっとも力を入れたのはホイールです。
オンロードバイクにおいて、もっとも走行性能に影響を与えるのはフレームですが、その次はホイール周りです。
街乗りでキビキビ走りたい、ぐわっと加速できるような車体がいい、リムハイトは高くない方が目立たなくていい、初めての高級ホイールにカーボンは不安だからアルミホイールがいい、といったオーナー様の趣向を伺いながら、最適と思われる組み合わせを模索していきます。
ところで、最近のホイールはリムハイトが高いものが多いです。
これは、正面からの空気抵抗を低減することが可能で、高速巡行するためには、非常に有効な設計です。
しかし、リムの背を高くする分、どうしても重量増となってしまいます。
そこで、この重量増を防ぐために軽量なカーボン素材を使うのです。
もっとも、今回はアルミホイール、リムハイトが低いものが良いという条件があるため、そもそもリムハイトの高いホイールは除外致します。
あれこれと考えたあげく、DT SWISSのPR 1400 ダイカット 21ホイールが良い、という結論に達しました。
まず、リム高が21mmと、最近のリムの中では最もというくらい、低いリムになっています。
その分、軽量化が期待できます。
PR 1400 ダイカット 21ホイールはフロントとリア併せて1,429gと、アルミモデルとしては極めて優秀な、超軽量ホイールといって良い軽さを誇ります。
また、DT SWISSの素晴らしい点は、ハブです。
もともとDT SWISSはハブ屋さんからスタートした、というだけはあって、その回転性能の高さは業界一といって良いレベルで、とんでもなくくるくると回ります。
今回装着したホイールも、少し力を加えたでけで、いつまでも回転を続けるのではないか、という卓越した回転性能の高さを示しておりました。
しかも、初期状態で恐ろしいほどフレがありません。
作業台に固定した車体が、ほとんど揺れていないことから、ホイールの精度が非常に高いことが分かります。
お値段は、フロント ¥68,200(税込)、リア ¥93,500(税込)です。
タイヤの選択も重要です。
今回は、チューブレスタイヤに致しました。
チューブが無くなることによる軽量化、タイヤとチューブの摩擦が無くなることからエネルギーロスの少なくなり、よりダイレクト感の増した走行が可能になる、といった利点があります。
また、小さな穴であればシーラントが防いでくれるため、耐パンク性能が高い、という利点もあります。
GIANTのチューブレスレディタイヤで最上位の、GAVIA COURSE 0 TIRE 25C ¥8,250(税込)と致しました。
ホイール、タイヤを新しくしたのにあわせて、カセットスプロケットも新調致しました。
オーナー様は自転車をお好きになられてまだ日が浅い方で、あれこれと数字や型番を羅列して困惑申し上げるよりも、こちらがオーナー様の趣向、ご意向を汲んでパーツ選択をすべき、と思われたたこと、オーナー様の体格、ライドスタイルから推測して、昨今流行の34Tまでは必要無いだろう、と判断して、11-30Tのスプロケットに致しました。
また、30Tにしたのは、リアディレイラーがSSケージでも操作できるというメリットがあることで、完成車でほとんど装備されているGSよりもSSのほうがプーリーケージが短い分、動作が素早く、鋭敏な感覚をお持ちの方であれば、SSのほうがウケがいいに違いない、と考えたからです。
ボトルケージを2つおつけしました。
サドルには、GIANT FLEET SLサドル ¥11,000(税込)を採用しました。
このサドルは、現行の上位TCRに装備されているモデルです。
自然な座り心地と、すうっと吸い付くようなフィット感が秀逸で、私も愛用しております。
全てパーツを取り外した状態にしたため、サービスでフレームのキズ消しとガラスコーティングを致しました。
完成です!!
工賃、パーツ代を含めて、¥386,805(税込)という剛毅なカスタマイズとなりました。
後日、オーナー様からお話を伺うと、素晴らしく速度があがった。
まるで別物のようだ!!
この前、駅で駐輪していたら、見たことがない車体なので写真を撮ってもいいですかと尋ねられた、
これほど素晴らしいパーツ選択をしてもらってありがたい、
と大変に恐縮してしまうお言葉を頂戴致しました。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeport新宿都庁前店の奈須野でした。
新宿都庁前店 / 総額¥430,000カスタマイズ GIANT REVOLT2 ジャイアント リボルト2 をシングル化、油圧105に換装する / 完成編
新宿都庁前店 1980年代 ビンテージロードバイク COLNAGO コルナゴ CARBITUBO カルビチューボ オーバーホール
新宿都庁前店 / 君は、コッタードクランクを見たことがあるか / ビンテージ PEUGEOT プジョー ボトムブラケット交換
新宿都庁前店 / 君は、スーパーママチャリを見たことがあるか!? / ママチャリ スーパーカスタム その1 打ち合わせ編
新宿都庁前店 / ライトオーバーホール GIANT DEFY ジャイアント ディファイ 2 2016年モデル ¥25,744(税込)
新宿都庁前店 / 高級ビンテージMTBを組み上げる / GIANT MCM TEAMモデル 2001 フルカーボン その1
新宿都庁前店 BRIDGESTONE RADAC ブリヂストン・レイダック オーバーホール / 日本最北端、最東端、最南端 / その1 打合せ編