皆様、こんにちは!!
bikeport新宿都庁前店の奈須野です。
MATE、という電動自転車がありまして、当店でも複数のお客様がしばしばMATE車体に乗ってご来店になります。
ある日のことでした。
MATE車体にお乗りのお客様がご来店になりまして、ブレーキの制動力に不満がある、とのことでありました。
拝見すると、油圧ディスクブレーキが採用されておりました。
車体重量のある電動車で、ローター径が160mmでありました。
これには様々な理由があると思います。
後述致しますが、160mmというのは一番普及しているサイズで、端的に言ってしまえばパーツ入手が楽であること、そのためコストダウンが図れること、街乗りバイクであれば160mmもあれば十分な制動力であろう、という判断だと思われます。
しかし、オーナー様は制動力に不満がお有りのようで、制動力を上げるためには、油圧ディスクブレーキをハイグレードなものに換装することが一番です。
もっとも、問題がございまして、電動車ではよくあることなのですが、ブレーキレバーにセンサーが内蔵されているのです。
このセンサーがブレーキレバーの引き量を感知して、電動モーターの出力を調整してくれています。
例えば、安直にブレーキレバーをSHIMANO XT等にアップグレードした場合、このセンサーが設置できなくなります。
そのため、常にモーターが全力で動き、それを強引に油圧ディスクブレーキで制動することになりまして、せっかくコンポーネントを換装しても、アップグレードなのかダウングレードなのか分からなくなってしまうのです。
そこで、今回はブレーキレバーは標準装備のまま、それ以外の箇所をアップグレードすることに致しました。
次に、問題となるのは、キャリパー本体です。
レバーはそのままで、キャリパー本体のみをアップグレードする、というのも難しいことなのです。
というのも、ブレーキレバーとキャリパーには、指定されたオイルタンクの量、というものががあります。
レバーとキャリバーでブランドを混在させた場合、オイルの量が適切にならず、効きすぎ、効かなすぎといった問題が発生します。
以上の理由で、ブレーキレバー、キャリパー本体は標準装備のまま、ローター径を大きくして、パッドを制動力の高いものに交換する、という方針に致しました。
ところで、ローターの直径が大きいほど、ローターが固定されているホイールの中心部との距離が増える、つまりテコの原理が大きく働くため、劇的に制動力が上がっていきます。
また、ローターが大きいほど放熱が有利で、制動力の低下を防いでくれます。
これらの理由が大口径ローターを採用する利点です。
スポーツバイクで採用されるローター径は、
140mm 主にロードバイクで採用されるローター径。制動力そのものよりも、スピードコントロールの繊細さと軽量性を追求したモデルです。
160mm ロードバイク、クロスバイク等に採用されるローター径。もっとも普及率が高く、ゆえに価格も抑えられている。ロードバイクではフロント160mm、リア140mmとすることもあります。
リアを小径にしてあるのは、ロック防止と、スピードコントロール重視のためです。
180mm マウンテンバイクで主流のローター径。オンロードバイクで採用することはほとんどありません。
203mm マウンテンバイク、特に制動力を求められるダウンヒルバイクで採用されるローター径です。
220mm 現状で最大口径のローター。SRAM、MAGRAにはラインナップが存在しておりましたが、最近になってSHIMANOも220mmローターを発表しました。
今回は、フロントにSHIMANO XT 203mm、リアにSHIMANO XT 180mmを採用しました。
フロントを203mmにしたのは、220は流石に大きすぎかな、と思われたのと、203mmまでならば過去のデータがたくさんあるため、換装しても安心、という理由からです。
リアを180mmにしたのは、これ以上の大口径ローターは、チェーンステイに干渉してしまって、そもそもフレームに入らないからです。
160mmから180mmにサイズアップするだけでも、その効果は十分に感ぜられるでしょう。
それでは作業開始です!!
まず、フロントホイールを外します。
新しいローターを用意します。
さすが、203mm。
圧倒的に大きいです。
装着します。
蛇足ですが、SHIMANOのローターには、センターロック方式と、6穴方式というものがあります。
センターロック方式は剛性も高く、作業効率も優れているのですが、残念ながらSHIMANO以外のメーカーには採用されておらず、他ブランドは6穴方式です。
今回はホイールが6穴であったため、SHIMANO XT SM-RT86 203mmローターを採用しました。
フロントホイールをサスペンションフォークに装着します。
ローター径を大きくした場合、ブレーキパッドが当たる位置が、よりホイール外周部になります。
そのため、ブレーキキャリパーの取り付け位置を外側にずらすマウントが必要になります。
フロントフォークにマウントを装着します。
パッドを新しいものに交換します。
今回は、品質に定評のある、ASHIMAのパッドを採用しました。
メタルとレジンという二種類がございますが、そこまで急激な制動力の立ち上がりは不要、と判断したため、レジン(オーガニック)のパッドにしました。
フロント換装完了です。
リアも同様に作業します。
XTは高級感があってよろしいですね。
完成しました!!
特にフロントのインパクトが大で、極太タイヤと相まって、精悍な雰囲気が一気に増しました!!
素晴らしい。
パーツ代、工賃含めて、¥28,000(税込)ほどになりました。
油圧ディスクブレーキの制動力に不満のある方に、ローター径の大口径化、おすすめいたします。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeport新宿都庁前店の奈須野でした。
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