皆様、こんにちは!!
bikeportスタッフの奈須野です。
ロードバイクにはロードバイクの良さがあり、マウンテンバイクにはマウンテンバイクの良さがある。
両者を混合するなど、言語道断!!
しかし。。。
ロードバイクに乗っているときに、激坂がしんどいことが多々あります。
私事ですが、キャンプツーリングが大好きでして、バイクにテントやシュラフ、お鍋など、あれこれと積載しますと、荷物とキャリアで15kg以上になることもあります。
車体と含めると30kg近い重量のバイクが出来上がります。
こういったバイクで、2000m級の山岳を登ることもありまして、しんどいなら、そんなことしなければいいのでは?というご指摘はごもっともですが、重量級のバイクで超えてみたいのです。
本日は、こういった変態的用途向けのお話を致します。
上り坂を楽にするには、いくつかの解決策があります。
1 自分自身を鍛える
ごもっとも。
反論の余地がありません。
2 やせる
必ずしもがりがりにやせればよいわけではありませんが、多くの成人男性諸氏は体脂肪が。。。以下略。
そのとおりではあるが、短時間にやせることが可能であれば、これほどの苦労はしない。
却下。
3 歌を歌う
某自転車漫画では、すさまじい効果を発揮致しますが、現実世界では、いかなものでしょうか。
4 バイク、荷物を軽量化する
これもまた、その通りで、私も夏場であれば、荷物を最小限にしたツーリングをしております。
冬場でも、テント泊をしない、全てホテル暮らし、食事も外食で、といったスタイルであれば、有効です。
5 超低ギア比のバイクを作る
これが、今回のお題です。
超低ギア比のバイクであれば、確かに速度はでませんが、くるくるとクランクを回転させれば、激坂であっても、十分に登坂が可能です。
ところで、ギア比とは、フロントの歯数÷リアの歯数で、クランクを一回転させる間に、リアホイールが何周回るのか、ということでもあります。
通常のロードバイクであれば、フロントインナーは、34T、36Tなどのチェーンリングが装着されています。
リアは最大34Tから30Tなどが標準的でしょうか。
GIANTであれば、KOMなどの山岳仕様モデルがフロント34T、リア34Tです。
TCRのパフォーマンスモデルはフロント36T、リア30Tとなっております。
この場合のギア比は、1と、1.2です。
ギア比が1などというのは、一昔前であれば、ロードバイクにあらずというくらいの低ギア比でして、十分軽いのは理解しておりますものの、それは身軽な状態であれば、という条件付きです。
荷物満載の場合は、ギア比1でもしんどく、可能な限りギア比を下げたい。
しかし、問題があります。
それは、現行のロードバイク系コンポーネントでは、リアスプロケットの最大は34Tなのです。
そして、フロントのチェーンリングは、最小であっても34T。
(確かに、CLARISのフロントトリプルにすれば、フロントの最小を30Tにすることが可能ですが、それでもフロント30T、リア34T、ギア比0.88が最小です。
今回は、0.88よりもさらに低いギア比を目指すことと、クランクセットをCLARISにした場合は、STIから駆動周りのすべてを8速用に変更しなければならず、バイクの環境によっては難しい点もあるため、詳述はしません。また、GRX化という選択もありますが、GRXであっても0.95といったギア比が下限で、さらに総入れ替えということになるため、こちらも今回は言及致しません。)
コンポーネントの構成を可能な限り崩さず、低ギア比を実現するためには、リアのカセットスプロケットを巨大化するのが手っ取り早い。
しかし、単にロードバイクのホイールにMTB用の巨大スプロケットを装着したところで、うまく変速はできません。
まず、リアディレイラーの可動範囲というものがありまして、ロードバイクのリアディレイラーは小ぶりに出来ています。
ロードバイク用のリアディレイラーに、MTB用の巨大スプロケットを装着した場合、いくらリアディレイラーが頑張っても大きすぎてこれ以上広がらない!!という状態になります。
じゃあ、リアディレイラーもMTB用のものに変えればいいのでは?
とお考えになるのも自然なことです。
しかし!!
ここで問題が生じるのです。
105、ultegra、DURA-ACEといったロードバイクコンポーネントのSTIレバーと、MTB用リアディレイラーではワイヤーの引き量が異なるため、両者を混在させるとマトモに変速できなくなります。
ところで、ウルフトゥース Wolf Toothというブランドがあります。
アメリカ、ミネアポリスに拠点のあるブランドで、高品質なパーツを作り出すことで、一躍著名ブランドとなりました。
Wolf Toothのタンパン tanpanというパーツを使います。
これは、STIレバーでMTB系リアディレイラーを操作できる、という低ギア比を実現するためには、救世主ともいうべきパーツなのです!!
今回使用したバイクのコンポーネントは、SHIMANO 105で、11速です。
そのため、リアディレイラーも11速のものを用意します。
昨今のMTB系コンポーネントは軒並み12速化が進んでおりますが、現行ではDEOREが11速用のリアディレイラーを展開しています。
(旧型を選べば、XTR、XT、SLXなどでも11速用リアディレイラーは入手可能です。)
今回はツーリング出発までの日が少なく、問屋さんの在庫があったDEOREの11速用リアディレイラーを選択しました。
RD-M5120-SGS ¥4,849(税込)
カセットスプロケットは11T-42Tを採用しました。
SLXの11速用に致しました。
理由は、11速ですぐに在庫があったから、というやや即物的なものです。
CS-M7000 ¥8,146(税込)
最初に装着されていた、カセットスプロケットを取り外します。
完成車状態で装着されていたスポークプロテクターも外します。
外す理由は、端的に、美観です。
強引に理由付けるとすれば軽量化。
105とSLXではずいぶんと大きさが違います。
リアディレイラーを装着します。
そして、こちらがタンパンです。
Inline Tanpan 11 ¥6,160(税込)
不思議な商品名ですが、インナーワイヤーをくるっと滑車に通して、リアディレイラーの引き量を調節します。
取り付け位置は、リアディレイラーの前か、ハンドルバーのどちらかです。
リアディレイラー前に取り付けるほうが見た目もスッキリすると思われます。
タンパンが新たに間に入るため、リアディレイラー付近のアウターワイヤーを短くします。
タンパンの滑車を通すため、初期のインナーワイヤーでは長さが足りず、インナーワイヤーは新しいものが必要になるでしょう。
軽くテストしてみます。
おおっ
105 STIで、DEOREが動きます!!
できました!!
見事に変速しています。
ギア比0.76という超軽量ギアを実現できました。
なお、リアディレイラーには、トータルキャパシティという制限があります。
フロントとリアを合計した、変速差数のことで、これを超えるとリアディレイラーが稼働しません。
私の場合、フロント48-32Tで、16T差
リア11-42Tで31T差
トータルキャパシティは47以上必要になるのですが、RD-M5120-SGSのトータルキャパシティは41までです。
リスアプロケットは11-13-15-17-19-21-24-28-32-37-42Tとなっているため、32Tの歯までは使うことが可能です。
つまり、フロントをアウターギアにした場合、リアを最大とその手前にすることはできません。
もっとも、ギアの歯を最大*最大付近とすることは、いわゆるたすき掛けでして、駆動効率が下がり、パーツの摩滅も大きくなるために、私個人はそのようなギアは選択しません。
リアを中段以上に軽くする場合は本能的にフロントをインナーにするために、実用上はまったく問題がありません。
トータルキャパシティの問題が気になる方は、フロントの歯数差を小さくする、フロントをシングルにする、リアスプロケットをそれほど巨大にしない(やや本末転倒的ではございますが)、私のように運用方法でなんとかしてしまう、という方策が考えられます。
私がトータルキャパシティを超えてでもスプロケットを巨大化させたのは、ツーリングの出発までに日に余裕が無く、交換パーツを最小限にとどめたかったことと、そもそもたすき掛けをしない、という理由からです。
いかかでしたか。
ロードバイクでも超巨大スプロケットを装着することが可能です。
これで、どれほどの激坂でもバイクから降りずに攻略可能!!
無敵のカスタマイズなのであります。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeport新宿都庁前店の奈須野でした。
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