皆さんこんにちは!
bikeport横浜西口店スタッフ鈴木哲平です!
前回はフレームの設計をする所まで書きましたが、今回はいよいよ実際にフレームを制作します。
先ずは前回の設計を元に部材やパイプを揃えていきます。
この時点でそれぞれの車体やそれぞれの乗り方によってパイプのサイズや厚みを選んでおく必要があります。
クロモリパイプの話になりますが、大きく分けて2種類になります。
パイプの厚みが均一なノンバテッドパイプと、バテッドパイプと言う物があり、パイプの両端(パイプの接合部)は強度を持たせるために厚みを持たせてパイプの中央は力があまり掛からないので厚みを薄くして軽さと強度をうまくバランスさせているというのが特徴です。
その為一般的に安価で作られているものの殆どがノンバテッドパイプで作られており、スポーツバイクと呼ばれている物は殆どバテッドパイプが使われています。
私の場合は軽量化と丈夫さをバランスさせるためにトップチューブとダウンチューブにはバテットパイプを使いそれ以外はノンバテッドパイプという種類のパイプを使うことにしました。
パイプの構成が決まったら設計の寸法に合わせて切り揃えるのですが、パイプ同士を接合する時につなげるパイプに合わせてパイプを削るので削る分を加味したザグリ寸法で切り出していきます。
その後パイプ同士をピッタリ繋ぐためにザグリという作業に入ります。
このザグリという作業はフレームの精度や強度を良くするために最も大事な作業だと私は考えており、ザグリの精度が悪いとパイプ同士の密着が悪くなりヒビ割れの原因になったりパイプが捻じれた状態でロウ付けしてしまうとフレーム全体に歪みが出来てしまいます。
なので特にこの作業は丁寧かつスピーディにを心がけて行いました。
そうすることでこの様にパイプにピッタリ隙間なく合わせることができ、ロウの廻りも良くなります。
ザグリが終わったらいよいよパイプ同士を繋げて形にしていく作業ですが、まずは仮付けという方法でロウを点付けしていきます。
以下ヘット周り&ボトムブラケット周り仮付けとシートチューブとトップチューブ接続部本付画像 ↓↓
この際にシッカリとフレームの捻れを修正しておくことで、この後本付けをする時のフレームの狂い取りも楽になりフレームに余計な力をかけて修正する必要もなくなるので、より精度よく強度が高いフレームが出来ます。
以下捻じれ取りイメージ画像 ↓↓
そしていよいよ本付けですが、ここでは予め仮付けしておいたロウを溶かしてパイプの間全体にロウを行き渡らせる作業です。
仮付けの時に完璧に狂いを取っていても、本付の時の火を入れる順番や火の強さによっては狂いが出てしまうのでここで大きな狂いが出ないように細心の注意を払って丁寧にロウを流し込んでいきます。
順番としては仮付、狂い取り、本付、狂い取り、フィレット、狂い取りの順番になります。
ホン付のみだとフレームにかかる力を分散させづらいので最後にフィレットという作業をします。
フィレットとは本付をした箇所にロウをなめらかな形状に盛っていく作業ですが、この作業を行うことでフレームがたわんでも応力を分散させる事ができ折れにくい丈夫なフレームが出来るのです!
フィレットは強度面だけではなく、仕上げやすさや最終的なフレームの美しさにも大きく関わる作業工程なので、フィレットの作業をする時は如何に仕上げがしやすく、応力をうまく受け流せる美しい形に仕上げられるかと言う所にこだわりを持って作業しました。
以下フィレットイメージ画像 ↓↓
ロウ付け工程が終わったら表面に付けたフラックスを取るために酸洗いをします。
酸洗いまでした後の重量がこちらです!
なんとか目標の重量以下に抑えることが出来ました!
この後フレームが内側から錆びるのを予防するためにリン酸処理をします。
その後は仕上げ作業に入りますが、普通はこのフレームをある程度サンディングした後塗装をする方が多いかと思いますが、今回はフレームそのままピカピカにポリッシュ仕上げをした後にクリアー塗装をすることにしました。
以下仕上げ作業の様子 ↓↓
こんな感じで地味な作業なのでさらっとお見せしましたがこの磨き作業が一番時間がかかりました(汗)
ポリッシュ仕上げの魅力は何と言ってもビルダーの仕事をそのまま見える状態で残すことが出来る所とクロモリのシルバーに真鍮ロウのゴールドのコントラストがとても美しく、シンプルな仕上げなので乗り手をより引き立ててくれる様な魅力もあります。
ポリッシュにする事で周りの風景とも上手く溶け込みます。
例えば春は桜に反射してフレームもほんのり桜色になりますし、夕方はまるで日本刀さながらの美しさになります。
ここまで綺麗に仕上げができたらサビ止めのためにミッチャクロンのクリアプライマーを下地にして2液剤クリアをトップコートにしました。
いよいよ組み付けていきます。
組付けの様子はYou Tubeに動画をアップいたしましたので良ければ見て下さい!
ちなみに車体に取り付けたこちらのヘッドバッチも専門学生時代に作ったもので、デザインも私のオリジナルです。
Street Trialと私の名前のイニシャルがSだったのでS字のシンプルかつオシャレなデザインになるように考えて作りました。
現在はタイヤをアメサイドの物に交換してこちらの仕様で乗っています。
今まで僕が所有してきたバイクの中で間違いなく一番かっこいいバイクに仕上がってくれました!!
愛着はもちろんの事、所有欲がすごく満たされております。
いかがでしたでしょうか?
ここまで長いブログを最後までお読みいただきありがとうございます。
自転車を一から作るという数ある夢のうちの一つを叶えることが出来ました。
当店でこういった作業ができるわけでは御座いませんが、分からないことなどはお気軽にご相談下さいませ。
bikeportスタッフ鈴木哲平でした。
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