皆様、こんにちは!!
Bikeportスタッフの奈須野です。
PEUGEOT(プジョー)、小径車のレストア作業についてお話致します。
レストア(restore)とは、回復、復旧という意味で、オーバーホールよりも更に一段進んで、ボルトの一本単位から徹底的にクリーニング、損耗箇所の交換をすることです。
オーナー様のPEUGEOTは長年の愛車で、ひときわ思い入れもお有りのようで、当初はオーバーホールをおすすめしておりましたが、レストアをすることになりました。
結論から申し上げると、今回のレストア費用は工賃、交換パーツの合計で、58,000円ほどになりました。
ただし、一部、高額パーツ(後述の本革サドル)があるため、一般的なパーツ構成を採ったとすれば、41,000円ほどになります。
まず、いつもどおり、車体の状態を写真におさめます。
特に小径車の場合、ケーブルの取り回し、ボルトの固定方法など特殊な場合があり、復旧時にまごつかないように、予め写真を多めに撮っておきます。
フレームの状態は、かなりの汚れが固着しており、ウェスで拭く程度では落ちません。
今回の車体は、リアディレイラーが損壊しており、いくら調整をしても変速がうまくいかないため、リアディレイラーも交換します。
さらに、ボトムブラケットも相当にダメージが進んでおり、ボトムブラケットも交換します。
新しいパーツに交換するのは、
ブレーキ、シフトのインナー、アウターワイヤー
チェーン
ボトムブラケット
タイヤ
チューブ
ブレーキシュー
となりました。
さらに、後述しますが、サドルも交換致しました。
まず、ワイヤーをカットします。
前述しましたが、アウターワイヤー(画像黒色のワイヤー)がフレーム内を通るという、特殊な取り回しをしているため、アウタワイヤーはひとまずそのままにしておきます。
チェーンをカットします。
ボトムブラケットを分解します。
長年乗っておられたようで、ボトムブラケットがゴリゴリと、軸ブレ、回転が悪くなっておりました。
雨の中を長期間放置されていた、とかではないようで、ボトムブラケット内部は極端には汚れておりませんでした。
ディレイラーを取り外します。
フレームだけになったら、クリーニング作業開始です。
フォーミングマルチクリーナーで、可能な限り汚れを落とします。
通常であれば、フォーミングマルチクリーナーで十分汚れが落ちるのですが、今回の車体の汚れは、ほとんど落ちません。
そこで、コンパウンドを使って、汚れを落としていきます。
フレームを回転させ、あらゆる角度からみても、汚れが残っていないように、徹底的にクリーニングします。
チェーンホイール、クランクをクリーニングします。
フェンダー(泥除け)もクリーニングします。
裏側も丁寧にクリーニングします。
ホイールをクリーニングします。
かなりの汚れが溜まっており、真っ黒に近い状態です。
フォーミングマルチクリーナー、コンパウンドを使って汚れを落とします。
フランジ、ハブの汚れも丁寧に落とします。
スポークも一本一本汚れを落としていきます。
クイックリリース、ベルなどもサビが出ておりましたが、可能な限りサビをとります。
ボトムブラケットにグリスを塗り、装着します。
タイヤ、チューブを新品のパーツに交換します。
ブレーキシューを新品に交換します。
リアディレイラーを交換します。
ワイヤーを貼り直します。
ブレーキの調整、リアディレイラーの変速調整をします。
バリアスコートをかけて、ガラスコーティングをします。
完成です!!
オーナー様にご連絡しました。
数日後、オーナー様がご来店になり、素晴らしい技術!! 信じられない!!とお褒めの言葉を賜り、ここまで綺麗になるとは思わなかった、当初の予定にはなかったが、サドルも交換したい、とおっしゃいました。
オーナー様とご相談して、クラシックな雰囲気の車体であるため、革のサドルはいかがでしょう、というお話になり、イタリアの高級サドルブランド、selle ITALIA(セラ イタリア)の革サドルをご提案しました。
そこで、selle ITALIA EPOCAサドル(17,600円、税込)を取り付けることになりました。
さすが、selle ITALIA。
本革の重厚感があります。
サドルを交換し、オーナー様にご連絡をして、二度目のお引渡しとなりました。
大変ご満足していただけたようで、ありがたいことでした。
なお、本革サドルは、現在でも根強い愛好家がいらっしゃいます。
その理由は、革サドルは、数年単位で乗りこなしていくと、乗り手のクセ、形状に合わせて形が変化し、抜群のフィット感を得られるからなのです。
ただし、本革ゆえ、水分に弱いです。
雨に濡れてしまった時は、丁寧に乾かしてあげます。
革靴や革のバッグなどと同様、革用のクリームを適宜塗り、保湿することで、ひび割れを防ぐ必要があります。
(本サドルには、専用クリームが付属しています。)
また、強烈な紫外線などには弱いため、直射日光の元に保管することも望ましくありません。
このように、本革サドルは手入れに気を使いますが、その存在感、高級感は圧倒的で、クラシカルなバイクに似合う、素晴らしいパーツといえましょう。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeportスタッフの奈須野でした。