皆様、こんにちは!!
bikeport新宿都庁前店の奈須野です。
クロスバイクのカスタマイズご相談
ある日のことでした。
お客様からご相談があり、クロスバイクの乗り心地を良くしたい、とのことでありました。
お使いの車体はGIANT ESCAPE RX3という、オンロード用のスポーツバイクでした。
オンロードバイクの乗り心地を良くするために有効なのは、微振動を吸収するカーボンパーツを使うことです。
フレームがカーボンであれば、一番良いのでありますが、RX3はアルミフレームのクロスバイクです。
フレーム以外でカーボンに置き換えて効果的なのは、フロントフォークです。
フロントフォークは路面からの衝撃を最も受け止める箇所です。
さらに、パイプの長さがあるため、ここに振動吸収性の高いカーボン素材を使うことで、効果的に乗り心地を改善してくれます。
問題点
ここで、問題がいくつか発生します。
(1)ヘッドパーツとフロントフォークの規格が適合しているのかどうか
(2)ブレーキシステムの適合性があるかどうか
というものです。
(1) EACAPE RX3に採用されているヘッドの規格は、GIANT独自規格のものでOverDriveと称しているものです。
これは、ヘッドの上側は1-1/8インチ、下側は1-1/4インチという上下異型となっています。
このようにしてあるのは、スポーツバイクではヘッドセット、フロントフォーク、コラムの経は1-1/8インチが最も普及しておりまして、1-1/8インチ用のステムが豊富に利用できるようにするためです。
下側はフロントフォークと接続するだけで、ほとんどのライダーは完成車状態から変化させない部分であるため、この部分を1-1/4インチという独自規格としてもそれほどの不便さはありません。
そして、太くすることで剛性、ステアリング性能を増すことができるのです。
つまり、OverDriveという上下異型のヘッドは、普及パーツとの互換性を保持しながら、可能な限り性能を向上させたもの、なのです。
(2) 次に、ESCAPE RX3に採用されているのは、リムブレーキです。
リムブレーキ用のカーボンフォークを探す必要があります。
しかし、クロスバイクでフロントフォークをカーボンにする、という手法はかなり贅沢なものでありまして、エントリーグレードのモデルには採用されていないことがほとんどです。
つまり、フロントフォークは上位グレードに採用されることが多く、2024年の現在におきましては、上位グレードのスポーツバイクは軒並みディスクブレーキに移行済みなのです。
これらの要件を満たすパーツが見つかりました。
2021年モデルのESCAPE RX2に採用されていたカーボンフォークです。
このフォークであれば、上側1-1/8インチ、下側1-1/4インチ、さらにリムブレーキという要件を満たします。
お色はティールが見つかりました。
このカーボンフォークを発注します。
届きました!!
開封します。
鮮やかな青緑です!!
塗装が上質です。
コラムまでカーボンです。
廉価帯のカーボンフォークでは、コラム部分は金属、というものもあります。
RX3に装着します。
もとが兄弟車ということもあり、取り付けは良好です。
ただし、アルミフォークとカーボンフォークでは、形が微妙に異なるため、ブレーキシューの位置は再調整が必要です。
カーボンフォークの注意点としては、アルミフォークとはヘッド固定のパーツが異なります。
アルミフォークの場合は、星型のパーツ(スターファングルナット)をフロントフォークに埋め込んでそれを上部から引き上げますが、カーボンフォークに同様の処置をするとフォークが割れてしまいます。
そこで、もう少しフォークに優しい固定方法をします。
エキスパンダー、エクスパンダーなどと言われているパーツで、これがフロントフォークの中で広がり、さらにエキスパンダーをトップキャップが上部から引き上げます。
それほど圧力がかからなくても十分な摩擦が生じるように表面がギザギザしています。
画像引用 fukaya
これほフロントフォークに取り付けます。
まず、取り付け前の画像です。
フォークの中がぽっかり空いています。
これでは左右から締め付けることはできても、上部に引き上げることができないため、フォークがガタガタしてしまうのです。
エキスパンダーを装着します。
完成です!!
パーツ代、工賃を含めて、¥33,000となりました。