「ショップおまかせのカスタマイズ」というのは、飲食店で例えれば「この店で一番美味しい料理を頼む」と言わるようなものでして、こういう依頼に困惑する自転車店は恐らくプロショップではない、店舗マニュアルだけに従事して仕事をする大型自転車店だけでしょう。
店主(あるいはスタッフ)のセンス、知識、技量にお客様が全てを委ねるというのは率直に嬉しいことです。
そこが自転車が大好きな店主が開業したショップであれば、きっとその注文を心待ちにしていたに違いありません。
だからこの「おまかせ」と言う抽象的な依頼は普段の仕事に加えて更に気合が入るのでして、拘りの強いショップほど「最高傑作」を造りだかるのです。
今回の依頼主は自転車が大好きな女性のお客様。当店に辿り着くまでに何店舗も色々な自転車店をまわって来たとのことでした。
「とにかく気に入った自転車に乗りたい。」と—。
只、色々と伺わせて頂くとその自転車の理想像が何とも難題でして。。。
・御洒落であること
・走行性能が高いこと
・用途は街中でお買い物等
・もちろんカゴも必須
・乗っていて楽しいこと
・他、荷台が必要、フレーム形状などなど
何が難しいかと言ますと、ママチャリ・シティーサイクルに求められる「実用性」とスポーツバイクに求められる「走行性」、
この互いに反比例する性能を同時に求められてしまっているのです。
自動車に例えるなら「荷物が沢山載せれて快適な空間があるミニバン」と「スピードも出て運転が楽しいスポーツカー」が融合するような感じでしょうか。
この後、オーダー頂くまでの経緯は割愛させて頂き、
結論は「既製品で難しそうなので、それなりに走行性能の高い車種をママチャリ・シティーサイクル化して買い物や街乗りで使い易くする」になりました。
そこで当店がセレクトしたのはLIVの「BELIV」という車種でした。
(メーカー様には失礼ですが…)2017年モデルから発売され、どちらかと言えばマイナーな車種。当バイクポートグループでも恐らく初めてです。
そしてこの車種を選んだ理由は下記の通りです。
1、(後ろカゴを付ける依頼だったので)ダウンチューブの低いスタカッート型であること
3、女性向き設計であること。クランクやサドルはもちろんのこと、デザイン面も。
4、その他、キャリア台座、タイヤの太さ、ギアなど駆動周りなど
5、コスパの高いGIANT製なので、カスタマイズ費用を入れても現実的な価格で抑えられること。
と、この車種に一般車風のハンドルをインストールし、
シフト・ブレーキレバーをSTIから変更。
グリップは同社製品に。これなかなか良いデザインでして、機能面も◎。ERGO MAXロックオングリップ¥2,000(税抜)
スタンドはセンター両立式をインストール。
FDワイヤーと干渉しないようにライナーで加工。
そして完成!!作品名を名付けるとしたら「近未来のシティサイクル」でしょうか。費用は掛かりますが、これ相当お洒落ですよ。笑
更にGIANT製キャリアを付けて「普通」の後ろカゴを装着。カゴはデザインよりも容量、実用性重視との依頼。
こんな感じに仕上がり、今回の納品は無事完了!
S様、御成約&カスタマイズ依頼、誠にありがとうございました。「乗っていて楽しいシティサイクル」に仕上げました。快適に街乗りを楽しんで頂ければ幸いです。