本日はこちらのバイクのOH風景をご紹介いたします。
全体的に綺麗なように見えますが、もう少しよって見てみると…
フレームには砂などの汚れだけではなく、ドリンクのこぼれた後のべたつきなどもあり、クランク外してみるとこのようにBB周りも砂汚れやグリスが黒ずんでいます。チェーンステーにはオイル痕があり、チェーンの振動による、もしくはチェーンオイル垂れによる汚れが目立ちます。
実はこのバイク、ちょうど一年前にフルオーバーホールを行いまして消耗品(ブレーキシューやバーテープ、チェーン)なども交換しています。
保管状態が良いので錆びはありませんが、一年でどうしてもこの程度汚れてしまいます。
当初はOHを希望されましたが、各部点検すると消耗品関係を無理に交換しなくても各部の調整、クリーニングやグリスアップでまた快適にご使用いただける判断で1万円程度ということでご提案させていただきました。
まずは車体の付属品などを取り除き、WAKO’Sのフォーミングクリーナーで表面の砂や汗、ドリンクの液垂れなどを除去していきます。
このマルチフォーミングクリーナーは水を使用したくないところにも有効で精密なレバー周りやDi2ユーザーの方にもオススメです。
BB周りをみるとグリスが黒ずんでいるのがわかります。
内部はほとんど色が変わっていないので、グリスの防錆処理がしっかりできており、水の侵入等はなさそうです。
意外と気になる変速機周りの汚れもなかなか個人では落とせず悩んでいる方も多いと思います。
このように細かい砂汚れが滞留しておりますが、こちらの汚れも除去していきます。
フォークとヘッドの隙間からはうっすらとですが、黒ずんでいるのがわかります。
こちらもフォークを取り外し内部のベアリングのクリーニングとグリスアップを行います。
ベアリングは精密なパーツなのに、外部から見えないがゆえにメンテナンスがおろそかになりがちなパーツです。
グリスが切れた状態で使用し続けるとベアリングが摩耗していきます。ゴリゴリした感触や動きが渋い場合は要注意です。
フレームにはフォーミングクリーナーを吹きかけていき汚れを徹底的に除去します。このように細かい泡が汚れに浸透してくれるので大抵の汚れはさっと落とすことができます。
たまたま同時に作業が入っていた別のバイクの画像になってしまいましたが、このようにドライブトレイン周りのパーツは砂汚れだけではなく、油汚れも付着し一筋縄ではいきません。
まずは一度水洗いをして表面の砂泥などの汚れを除去します。
とくにスプロケットのような油汚れがひどい箇所というのは水洗いのみでは、頑固な油汚れは除去できません。
水洗いをしたリアディレイラーはこのように砂や埃など一緒に固まってしまったオイルがそのまま付着しています。
油汚れを溶解させるクリーナーを用いてこのように綺麗にすることができました。
このようなショップで扱う強力なクリーナーを用いれば、効率よく頑固な油汚れを除去することができますが、吹き付けタイプのクリーナーでは非常に効率が悪いのでオススメはしません。
一通りクリーニングが完了したら、今度はベアリング等の駆動周りにグリスを塗っていきます。
こういったスペーサー一つ一つも丁寧に拭きあげて、グリスを塗っていきます。
グリスは金属どうしの摩耗を軽減、防塵防錆をするために駆動部周りを中心に徹底的に塗っていきます。
綺麗になったベアリング、コラムスペーサーを順番通り戻していきます。
駆動周りや泥はねがしやすいリアステー周りがとても綺麗に、変速機のなかなか落としにくい砂汚れを除去しました。
スプロケットやチェーンは新品ではありませんが、このようにコマの一つ一つが新品のように綺麗に仕上がりました。
クリーニングした後のチェーンは油膜がないため長時間放置すると湿気などで錆びてしまいますので、専用のチェーンオイルを適量塗布します。この適量というのが非常に難しく、多すぎると先ほどのような真っ黒なスプロケットになってしまいます。
クランク周りやホイール周辺はなかなか手が届きにくい厄介な場所ですが、この通りクリーニングとグリスアップを行い駆動周りの防錆、駆動効率アップをしています。
このままでも非常に綺麗ですが、さらに傷や汚れにくく光沢感を出すためにWAKO’Sのバリアスコートでフレームをコーティングしていきます。ご覧の通り新車のような輝きを放っています。
ボトルゲージもこのように液だれによる汚れが付着していましたが….
クリーナーとブラッシングで綺麗に仕上がりました。
白いバイクは汚れが目立つと購入時に懸念される方がいらっしゃいますが、いかがでしょうか?
これだけ綺麗になると白いバイクはとてもかっこいいですね。
最後に変速・ブレーキ調整や各部ガタツキがないかチェックして完了です。
今回のような作業については具体的な作業項目、作業工賃が決まっているわけではないですし、お客様とのディスカッションでどの程度の作業にするのか、どのぐらいの頻度のライディングなのか、求められるパフォーマンス、汚れの程度を加味して作業内容を確認します。
乗る頻度にもよりますが、ロードバイクの場合は2〜3年に一度しっかりOHを行い、1年に1度今回のような内部のクリーニングを含めた、簡易OHをすると年間を通じて気持ちよく楽しんでいただけると思います。
特に雨の日には今回のような作業は非常に捗りますので、梅雨の時期などもぜひぜひご相談、お持ち込みください。
仕事や学校で2週間ぐらい乗れないなーと思ったタイミングでもよいかもしれません。今回の作業は1週間を目安にお預かりしましたがお預かりしてから4日目で作業が完了しました。
ご自宅で眠っているバイクがあればぜひご相談下さい。