皆様、こんにちは!!
bikeport新宿都庁前店の奈須野です。
先日、以前公開したブログをご覧頂いて、MASI SPECIALE RANDONNEUR ELITE(スペシャーレ ランドナー エリート) がご成約となりました。
私、この7ヶ月ほど、上記車体でしばしばツーリングにでかけました。
主にツーリングでしか利用していないため、積算距離3,000km、野営数30日ほどですが、改めて感心した点、当初の目論見と違っていた点などについて記します。
1 改めて感心した点
(1)ハンドル径、コラム径
以前のブログで「新古典主義」と表現したとおり、MASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEはクラシカルな見た目、雰囲気ながらも、最新の技術、トレンドを採用しているという不思議なバイクです。
これは素晴らしい点が多く、例えば、ハンドルバーの太さがオーバーサイズ、31.8mmという最新の規格です。
さらに、コラムも最新のロードバイクと同じオーバーサイズ、28.6mmのコラム径です。
これは何を意味しているかといえば、ねじれ剛性、ハンドル剛性に優れている、ということです。
特にツーリングバイクの場合、フロントバッグ、フロントサイドバッグなどを装着して、フロントに10kg以上の荷物を積むことは珍しくありません。
このような状態であっても、オーバサイズのハンドル径、コラムであれば、たわむこともなく、しっかりとハンドリングに追従してくれるのです。
なぜこのようなことを申し上げるかといえば、ツーリングバイクというのは、古典的な見た目を重視するあまり、昔の規格にこだわって、性能面で残念なバイクも多いからです。
何を重視するかは個々人の方の自由であって、私があれこれと申し上げるのもはばかられるのですが、あくまでも私見として、古典的であることと性能が低いことは違うと考えます。
今どきスレッドステムを採用するとか、ハンドル径が25.4mmとか、それはそれで古風ないでたちとなりますが、正直に申して、現代のバイクと比べると、性能が見劣りします(大変に失礼な表現で恐縮でございます。しかし、実は私自身もスレッドステム、ハンドル径25.4mmというツーリングバイクを所持しております)。
このようなバイクではハンドルを切るたびにぐわんぐわんとフロントがたわんで、まともに速度が出ません。
ダウンヒルのときも低剛性すぎて、高速で下ろうとすると恐怖です。
なお、ツーリングはゆっくり走るものであるから、ツーリングバイクには高性能なパーツは必要ない、というのは誤りであると個人的には考えます。
高性能な車体であれば、より速く、より安全に、より疲れにくく進むことが可能で、それはレースシーンとまったく変わりありません。
車体の性能マージンがあればあるほど、イザというときに差が出てきます。
このように、MASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEはへそ曲がりに昔の規格に拘泥している訳ではない点が、とてもお気に入りです。
(2) ボトムブラケット
BBが堅牢性、剛性の高い規格です。
このような表現をすることをお許し頂きたいのですが、前述しましたとおり、高価格帯のツーリングバイクというものは少なく、ゆえに、BBも低廉なパーツが使われていることが多々あります。
その代表例がスクウェアテーパーのBBです。
スクウェアテーパーのBBであれば、コストダウンできて素晴らしいことですし、確かに、ほとんどのクロスバイクにはスクウェアテーパーのBBが採用されています。
街乗りといった用途であれば、速度を出すこともあまり無く、それほどの高剛性も必要無いからです。
しかし!!
ツーリングバイクは速度が出ない、というのはあくまでも荷物が多い、空気抵抗が多いからであって、ライダーの出力が低いからではない、と主張します。
低出力の場合は、スクウェアテーパーのBBでも問題ありませんが、一定以上の出力になった場合は、剛性が低すぎてエネルギーロスが顕著になってきます。
これは、おおよそ¥100,000以上のロードバイクであれば、ほとんどすべてホローテックIIなどの一体型BBを採用していることからも明らかです。
MASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEもPRAXIS WORKSという、日本ではややマイナーなブランドながら、シマノで言うホローテックIIと同等の機構が採用されています。
そのため、BB、クランクがたわむことはなく、ふんがーーーっとペダルを踏んでもエネルギーロスが少なくなっています。
(3) 低BBハイト、ハンドル、高スタックハイト
ツーリングバイクゆえ、BBハイトが低いです。
地面を這うような感じですが、悪くありません。
サイドバッグを4つつけて、時速50km以上でダウンヒルをする、といった無茶な使い方であっても、安定したコーナリングが可能です。
これが設計の悪いバイクですと、とたんにバランスを失いがちで、恐怖以外の何者でもないのですが、MASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEであれば、安定したダウンヒルが可能。
さらに、ハンドルが高く、前傾姿勢が強くないため、ツーリング時に楽な姿勢が取りやすいです。
(4) ディスクブレーキ
雨の日でも制動力が落ちにくく、非常に安心です。
ツーリング時には雨となることも多く、個人的には、ツーリングバイクこそ真っ先に、ディスクブレーキを採用すべきと考えます。
輪行が難しいという方もおりますが、実際に行えばほとんど差はありません。
(5) 圧倒的走破性
47Cタイヤからくる、圧倒的な走破性の高さが魅力です。
牧草地、雪原、砂浜の上を走ったこともあります。
クッション性の高さについては、このようなことを申すのもはばかられながら、それほど恩恵は感じませんでした。
なお、パンクしたときは、大容量の空気を充填可能な携帯ポンプが無いと悲劇です。
(6) 膨大な積載量
前後4つのサイドバッグ、フロントバッグ、リアキャリア天板と6箇所に荷物を積載可能です。
しかもクロモリフレームであるため、アルミフレーム、カーボンフレームとは比べ物にならないくらい、積載量に余裕があります。
トータルで30kgくらいの荷物を積むことも可能。
ボトルケージは標準で3つ搭載可能。
とはいえ、自転車ツーリングに使う車体で重要なのは、積載できる荷物の重さではなくて、カサ、体積の方です。
特に長期のツーリングとなりますと、替えの衣類、レインコートなど、重くはないがかさばるものが増えてきまして、バイクパッキング型ツーリングではどうしても苦しくなりがちなのですが、MASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEであれば無限の積載量というほどの余裕があります。
ゆえに、私も長期ツーリング、荷物の量が増える厳冬期、僻地で何が起きるか分からない場合などには、好んでこのMASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEを持ち出しております。
2 ここまで激賞しておきながら、マイナス点も述べます。
(1) 重い
覚悟はしていましたが、やはり、重いです。
クロモリフレームは大好きですが、MASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEでツーリングをした場合、ロードバイク・バイクパッキングという軽装スタイルと比べて、巡航速度が3km/hは落ちます。
わずか時速3kmではありますが、一日あたり20-30kmくらいの差がでることもあります。
さらに、ロードバイク・バイクパッキング型であれば無理をすれば一日200kmとかの移動も不可能ではありません。
というのも、多少ヒルクライムに時間がかかったとしても、ロードバイクであればダウンヒルで一挙に取り戻せるくらい、爆速で下ることが可能だからです。
しかし、MASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEではかなり困難です。
といいますのも、まず、車体が重いためヒルクライム時の速度が一挙に落ちます。
さらに、高速域になるほどタイヤの路面抵抗が顕著になってくるため、ダウンヒルも爆速というわけにはいかないからです。
(先程、時速50km以上でダウンヒルをすると申したばかりですが、これほど速度がでる区間はほとんどありません。どうしてもずんずんと減速してしまいます。)
これは仕方ありません。
25Cや28Cのロードバイクと比べるのは不公平というものであります。
したがいまして、MASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEに4つのサイドバッグを装着して、山梨、長野などの山岳地帯を走破するのは、したことはありますが、かなり自虐的なツーリングになります。
もっとも、平地での速度差はそれほどないため、平地主体のツーリングであれば、ほとんど問題ありません。
普段の通勤、通学ではまったく影響がないくらいの重さです。
私も通勤に時々、MASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEを利用しておりますが、都市部では信号ばかりでタイム差など出ませんし、上り坂も丘程度のものであって、疲労困憊で倒れてしまう、ということも起きません。
(2) ハブダイナモ
ハブダイナモ自体は素晴らしいです。
私は日中も点灯させております。
しかし、イザ輪行しようとすると、非常にやっかいです。
まず、配線が抜けにくい。
いや、抜けにくいのは本来は素晴らしいことで、諸外国では輪行といった自転車文化がほとんど無いと思われまして、一度装着したハブダイナモの配線を何回も取り外すことのほうがマイナーです。
それは分かっておりますが、外しにくいです。
そして、外した配線を再度取り付けるのが実に難しい。
輪行して、帰宅するために最寄り駅に到着したのは良いが、すでに夜中で何も見えない。
そんなときにMASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEのハブダイナモを再配線するのは、ぬおーーーーっ!!と言いたくなる難易度の高さです。
とはいえ、訓練すればできます。
できるようになりました。
(3) フェンダー
フェンダーも格好いいです。
シルバーで、しかも専用設計なので、変な隙間もない。
しかし!!
これまた輪行時に。。。邪魔です。
ゆえに、私自身はすぐに使わなくなりました。
輪行をしない、という方は装着したままのほうが、ずーーっとスタイリッシュだと思います。
3 ご納車車体
さて、今回ご納車した車体には、TIOGAのフロントキャリア、三ヶ島のペダル、ADEPTのクラシックなボトルケージをお取り付けしました。
TIOGAのフロントキャリアにしたのは、お値段が比較的抑えめ¥2,860(税込)でありながら、天板があること、やや強引ながらサイドバッグも装着可能であること、アルミ製で軽量であること、などの理由からです。
三ヶ島のペダルは、今どき珍しい四角のペダルで、クラシカルな外観であること、直線を基調としたMASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEに似合うこと、三ヶ島のベアリング、ハブの良さには定評があり、回転抵抗が少ないこと、お値段もフラットペダルとしては高めながら(¥4,565(税込))、許容範囲といえること、といった理由からです。
ADEPTのボトルケージは、これまた今どき珍しい細身のボトルケージで、同じく細身のクロモリフレームと似合うから選択致しました。
防犯登録費用など、諸費用込みで、¥225,085となりました。
すこし辛口なコメントをしてしまいましたが、MASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEであれば、どこでも、どこまででも走破可能です。
通勤、通学で使うには、無敵といえるほどの安定性、堅牢性があります。
私が出会ったツーリングバイクの中で、もっとも完成度、信頼性、満足度が高いのがMASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEでして、あと数台、買い足そうかしら。。。と思っているくらいであります。
MASI SPECIALE RANDONNEUR ELITEは一番愛着のある相棒となっております。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeport新宿都庁前店の奈須野でした。