みなさんこんにちは
bikeportの小林でございます。
昨年の6月にリリースされた『GLORY ADVANCED』を1年かけて形にしましたので、自慢ご紹介させていただきます。
今年は数年ぶりにマウンテンバイクの聖地”ウィスラー”に向けて、ほぼ妥協なしの最強機材を組みました。
フレーム価格が935,000円という衝撃価格過ぎるわけですが、極めつけはこのバイクは自転車としてはあるまじき通常の走行はほぼ不可能どころか肝心の山でも上る、担ぐということに関して”ほぼ不可”『下り専門』バイクになります。このバイクを使うためにはリフトや搬送が必要なのです…
ここでは一度ダウンヒルバイクとはなにか一度復習しておきたいと思います。
ダウンヒルバイクとは
本日はマウンテンバイク(以下:MTB)ラインナップでも一際尖っているカテゴリー『ダウンヒルバイク』のご紹介です。
MTBの中にもいくつか種類が存在していて、クロスカントリー(XC)、トレイル(TR)、エンデューロ(EN)、ダウンヒル(DH)といった具合に分類されます。
DHバイクはその中でも「下りの性能に全振り」した仕様のバイクです。他のカテゴリと違い、上りのためのワイドレシオギアや、ドロッパーシートポストも排除し。とにかく速く、どんな荒れたラインでも走破するために設計されたバイクです。
よって基本的な使用に関してはリフト、トラック搬送は必須です。下りに特化しているため軽量でもありませんし、ギア比も下りで踏み切らないためにやや重ために設定されているので街乗りで使う自転車ではありません。そんなバイクですが、どのカテゴリーのバイクにはないとんでもない爽快感が味わえるのが魅力の一つです。
前回フレームに関しては紹介したブログがありますのでそちらもぜひご一読下さい。
さてここからは超気合の入った各部詳細をご紹介致します。
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LEWISブレーキ
今回採用したブレーキは、新興ブランドの『LEWISブレーキ』のLH4というブレーキを採用。
このLH4性能を語る前に、このLH4ブレーキセットはカラーのラインナップ展開があり、削り出しによる美しいフォルムとアルマイト塗装による造形美がSHIMANOやSRAM、MAGURAにはない魅力の一つではないでしょうか。
LH4ブレーキセットは17mmと14mmの異径対抗4ピストンを採用しており、上位グレードにあたるLHT ULTIMATEブレーキセットは17mm 17mmの4ピストンを採用しているようです。
採用するフルードはミネラルオイルになります。
DOTオイルと比べ吸湿性も低いため、日本のような湿度が高い環境下でも劣化しにくいのが特徴です。
ピストン部もステンレススチールピストンとLHT Ultimateはセラミックとチタンハイブリッドピストンという違いがあります。制動力や放熱性能に差がでてくるのではないでしょうか。
LEWISブレーキの最大の特徴は調整の幅と、そのタッチの軽さにあります。
レバー付け根に高精度ベアリングを採用し、驚きのタッチを実現しています。
これは実際に使ってみると皆さん驚かれること間違いなしです。軽さは各メーカーのフラッグシップ並かそれ以上です。MAGURAのような軽さもありつつ、カッチリしているタッチが最高です。
ただ軽いだけではなくLH4はパッドがローターにコンタクトするまでのコンタクト(引き代)調整とレバー初回位置の調整が可能です。 指を置く位置の調整は工具無しで可能です。コンタクトに関しては付属する2mmネジを使い微調整を行います。悪口になっちゃうかもしれませんが、SHIMANOのフリーアジャスト(引き代調整)はあんまり効いてる感じがしませんが、LEWISは顕著に違います。
別の車体で現行のXTR(M9120)のブレーキを使用していますが、調整によっては同じようなフィーリングに調整することも可能ですので、別ブランドのブレーキに慣れていても、LEWISブレーキの調整幅が広いため、すぐに違和感なくライドに集中できると思います。XTRがお亡くなりになった場合はすべて所有しているMTBすべてLEWISにしようと思うぐらい最高です。
実際パークで使ってみると、パッドがコンタクトしてからも微妙なコントロールが非常にしやすく、レバーやホースの剛性が高いのか、引ききってからのぐにゃーって感じがありません。
個人的にはMAGURAのような(縦ピストン)軽いタッチも好きですが、コンタクトしてからのぐにゃーって感じがあんまり慣れません。皆さんはどうでしょうか。
また取り付けに関してはSHIMANOには劣りますが、慣れれば問題ないですし、ライダーの方にはデメリットにはなりませんね。
インサートとオリーブの代わりにこの金具が二手に分かれて、ホースへジョイントしていきます。繰り返し使い回せる点で言えばこちらのほうが好みです。
ホイール
流行りの”マレット”という前後異径仕様のことでフロントが走破性の高い29インチ、リア側が回頭性の高い27.5インチを採用しました。
これにより29インチのようなスピードと走破性がありながら、コントロール性にも優れるというダウンヒルバイクのみならず、MTBの仕様としては定番化しつつある仕様です。
最近では標準でマレット仕様の車体もあれば、ゆくゆくマレット仕様にできるフレーム設計になっている車体も増えています。
リムはFORMOSAアルミリム、ハブはリバースコンポーネントEFSハブ(Equal Flange System) 7sオンリーの長極狭フリーボディを採用することにより、市場に出ている多くのハブは、ハブセンターからフランジまでの距離が左右非対称になっているため、スポークの長さと角度がドライブ側とブレーキ側で異なり強いホイールを作る上では調整が難しいですが、今回採用したEFSハブは、フランジがハブの中心から完全に対称に配置されています。(スポークの引っかかるところ)
よってスポーク角度とスポーク長、スポークテンションも左右で全く同じにすることができるので、物理的に非常に安定した剛性の高いホイールが組めました。
ノッチ数も120とかなり細かいのでかなりかかりの良いホイールとなっています。
スポークはピラースポークのゴールド、ニップルはグリーンをチョイス。
タイヤ
TANKENの特別仕様モデルGEKKOTA
通常のTANKENと採用するコンパウンドを変更し、英語でいうヤモリを指すGEKKOTAの名の示す通り日本の滑りやすい路面や濡れた根っこ岩場に最適化したコンパウンドとパターンを採用。
TRANCE XではノーマルTANKENをGLORYではGEKKOTAですが、明らかにタイヤのしなり具合が違います。ノーマルの方もかなりグリップ力は強くドライコンディションから多少のマッドコンディションでも問題ありませんが、ウエットタイヤかと思うぐらいグズグズコンディション下でバームに当て込んでもしっかりグリップしてくれます。そのくせ良く転がるものですから、コンペティション向けにも絶対オススメできるタイヤです。
なにせENSプロデューサーの内嶋亮選手が監修されているので間違いないことでしょう。
FLIP CHIP
今回のフレームには私の過去の記事でも登場したFLIP CHIPシステムが採用されています。
今回のGLORYの場合は主に3か所ヘッドのアングルを3段階変更可、BBハイトを3段階調整、ホイールベースを2段階変更可能です。
特に先述したマレット仕様の場合は27.5ホイールをリアに装着する場合はホイールベースを詰めたほうがかなり回頭性が高くなるので、オススメです。
BBハイトに関してもオープンなフロートレイルであれば低めに設定、テクニカルなトレイルであれば高めに設定するなどして、バイクの特性をアレンジすることが可能です。
とにかくぶん回せる1台
ダウンヒルバイクというと、ダブルクラウンサスペンションが採用されており、左右に45度程度しかステアリングできません。
イメージ的には回頭性が悪そうなイメージですが、そもそもMTB自体はハンドルを切って曲がるのではなく、バイクを寝かせて曲がります。
バイク自体が他のMTBに比べて重量やホイールベースが長いので確かに回頭性は他のバイクに比べて悪いのですが、このGLORYはトレイルバイクをぶん回しているかの如くヒラヒラとテクニカルコーナーも突っ込めます。
何度かライドしてみた感覚だとタイヤのグリップ力やサスペンション性能が高いことはもちろんですが、フレーム自体が軽く剛性も非常に高いので、見た目のゴツさを全く感じさせません。
歴代のGLORYと比較しても、29インチフレームにありがちな扱いにくさ?クセ?もないので、万人が扱いやすく、更にライディングスタイルによって調整できるのも高評価です。
歴代GLORY
最後にbikeportで手掛けた歴代の栄光達をご紹介して終わりにしたいと思います。
皆さんはどのGLORYが好きですか?
2019 GLORY ADVANCED オリジナルペイント HOPE DVO構成
2015GLORY アルミフレーム
2019 GLORY ADVANCED DVO仕様
見た目はクロスバイクとロードバイクのお店ですが、ガッツリダウンヒルバイクをやっているbikeportでした。