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「戦いは、1つのパーツの規格から始まった。」
うなぎの養殖から、自転車の世界へ。
そんなドラマのような転身を果たした劉金標。
彼は「世界で通用する自転車メーカーにするんだ!」という熱い想いを込めて、自社の名前を堂々とGIANT(ジャイアント)と名付けました。でも、創業当初の名刺交換では、こんなリアクションが日常茶飯事だったそうです。
「あら、名前だけは立派ですね〜(笑)」
いや~それ言った人、今のGIANTを見てどんなふうに思っているでしょうかね?
ところが…夢の船出は“ガタガタ”だった。
さて、GIANTが工場を立ち上げて最初にぶつかったのは――「モノが売れるレベルじゃない…!」品質が追いつかない。
しかも、台湾の自転車業界には統一された規格すら存在しないことが判明。
つまり、せっかくいいフレームを作っても、タイヤが合わない、ブレーキがつかない…とにかくバラバラ。これでは輸出どころか、国内流通ですら一苦労。
「やってみてから考える」精神で始めたものの、台湾の自転車業界はまるでジャングルのように混沌としていた時代だったのです。
「それなら、自分たちで変えよう」
そこで立ち上がったのが、劉金標。
なんと彼は、日本に渡ってJIS規格(日本工業規格)を学ぶという行動に出ます。
「規格を統一しなければ、台湾の自転車は世界に出ていけない」
そんな信念を持って、帰国後は部品メーカーを一軒一軒、地道に説得してまわる日々が始まります。
でも、考えてみてください。
創業して間もない、取引実績もないベンチャー企業の社長が突然やってきて、
「ねぇ、今までバラバラだった規格、これからは全部こうしてくれませんか?」
って言われても……
正直、門前払いされてもおかしくありません。
でも、この人、あきらめないんです。
普通なら「いや〜、無理だな」「別の事業にしようかな」となっても不思議じゃない。
でも劉金標は違いました。
「台湾が世界と戦うには、どうしても規格の統一が必要なんだ」
そう信じて、彼はコツコツと説得を続けました。
そう、GIANTの歴史は「世界で戦うための共通言語=統一規格」をつくるところから始まったんです。
1つのパーツから始まった“戦い”は、やがて台湾自転車業界全体を巻き込み、世界市場への第一歩となるのでした。
Episode#3につづく…
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