皆さんこんにちは。
bikeportオフロード研究員の小林です。
先日世界同時発表のあった第8世代【REIGN】が記憶に新しいですが、今日は国内でも大変人気のあるMTBカテゴリー“オールマウンテン”バイクをご紹介致します。
それがこちら【GIANT TRANCE X 】※フレーム以外全て組み替えてあります。 フレームは27.5仕様の アルミフレームモデル
ズバリ!!その名に相応しい、1台であらゆる悪路、山道を走破し、上りもこなすオールラウンダーなバイクは日本国内では非常に人気のカテゴリーです。
最近はよりハイスピードかつ、凶悪なラインも増えてきていますので、サスペンションのストローク量も150~160mmの少し長めの物が採用されており、リアも140mm程度の物を採用している車体がほとんどです。
またライディングのスタイルの多様化に併せて、フレームには可変式のリンクが採用され、ジオメトリーを切り替えるが可能となりました。
複雑な切り返しと転回性能が求められるトレイルのようなテクニカルコースから、ハイスピードのフロートレイルやジャンプトレイルのようなパークライドまで、1台で対応できるように可変式のリンクを採用し、様々なシーン、ライディングスタイルに対応が可能となったバイクが増えています。
写真:クランプ部35mm径のハンドル ステムはIndustry nine ハンドルはFORMOSAのカーボンハンドルバー 幅は780mm
ハンドル周りは、ダウンヒルからエンデューロといったハードなライディングシーンで好まれて使われるようになった35mmのハンドルバーが採用されました。
ヘッドチューブはオールマウンテンでは少し寝かせ気味の64.5度から、エンデューロ系のようなより下りにに寝かせた63.7度辺りが主流となっています。
タイヤに関しても同様に、フロントがグリップ重視のダウンヒルタイヤ、リアが転がり重視エンデューロタイヤといった組み合わせも世界のトレンドとなっています。
前置きが少し長くなりましたが、このように一台であらゆる山道を走破することを極限まで極めたバイクがオールマウンテンバイクとなります。
TRANCE Xの魅力をお伝えします。
まず今回のTRANCE Xの最大の特徴
【Flip chipの採用。】
競合他社でもヘッドアングルやBBハイトといったジオメトリーを可変を可能とする機構がTRANCEにも採用されました。
テクニカルで低速なトレイルには、HIGHモードに設定すればヘッドアングルが立ち、BBハイトも高くなるので、クロスカントリーバイクのように、いやらしい根っこやロックセクションもペダルがヒットしにくくなりますし、テクニカルな切り返しも恐れることなく攻めることができます。更にはクライミング時でもハンドリングとペダリングがしやすくなりますので、タイトでアップダウンの多いトレイルなどは最適なポジションと言えるでしょう。
一方LOWモードになれば、低重心化とヘッドアングルが寝ますので、エンデューロバイクのように、オープンなフロートレイルやMTBパークも高速走行時に安定感が得られます。さらには急な地形でも確実なコントロールを可能とします。
【トラニオンマウント】
フルサスペンションバイクは、リアショックのリンク部により後部のスイングアームが接続されているため、いかに後輪側の剛性を高く保つかが課題となります。
またリアショックのストロークが増えれると、その分リンク部分もスペースを確保しなければならないため、一つ一つのパーツが大型化してしまいます。
しかたのないことではありますが、これを極限までコンパクトにするリンク構造を各社試行錯誤して剛性とストロークを確保しています。
GIANTの採用するトラニオンマウントは、このリアショックの管の部分に軸が貫通することにより、従来のリアショックのマウントのように軸の取り付け部が管の上部に出てくるものよりコンパクトかつ、少スペースでストロークが確保できるだけはなく、ねじれにも強い構造にもなっています。
写真左がトラニオンマウント用 ショック管の部分にリンクシャフトが貫通するので、右の通常マウントより小型化とねじれへの耐久性を確保しつつストロークは確保されている。
各社から出ているリアショックも基本的には【軸間とストローク量】を確認した上で購入していただきますが、GIANTの最近のモデルは【トラニオンマウント】を採用していますので、トラニオンマウント対応のリアショックを選ぶ必要があります。
【TRANCE Xとは】
日本ではTRANCEのラインナップがなくなり、その代わりにTRANCE Xのみがラインナップとなりましたので後継機と思われがちですが、実は海外のGIANTのラインナップでは【TRANCE】と【TRANCE X】の2つのラインナップが存在していますので、厳密には今までのTRANCEの後継機というわけではありません。
もちろん新型であることには変わりありませんが、従来のTRANCEより、“更に下りに特化したモデル”という位置づけになります。
今回の完成車スペックでは、いずれも通常モデルよりサスペンションのストロークが長いものがアッセブリされ、タイヤもよりダウンヒル系の物が採用されていますね。 フレームに関してもヘッドアングルなどのジオメトリーも通常のTRANCEとは異なります。
ともあれ、私小林は一度フレームから自分の持っているパーツと新たに用意したコンポーネントで“ドリームビルドTRANCE X”を組んだのでした。
今季はトレイルツアーから、富士見パノラマや岩岳といったダウンヒル盛りだくさんのパークライドまでこのTRANCE X 1台でTRANCEの真価を測ってまいりました。
1台でこの夏楽しんできましたが、軽くて取り回しの良いエンデューロバイクのように感じました。←え?最強。
元々はエンデューロバイクに乗っていましたので、最初こそ違和感は当然ありました。例えばフロートレイルのような高速域で使うとエンデューロバイクに比べ抑え込まなければいけません。ジオメトリーは最近のエンデューロバイクに近いですが、やはりエンデューロバイクに比べフレームの剛性が劣るため、高速域の安定感はエンデューロバイクに軍配が上がります。
しかしながら、エンデューロバイクと同じ感覚でジャンプラインで引っ張ると、メチャクチャ飛びます。トレイルでもメチャクチャ振り回せます。
GIANTのフリーライダーのリースワランスもコイル式ショックを採用しており、近い組み方になっていますね。ドロッパーシートポスト外してるんかいっ!!
イメージしやすいよう以下のような数値に主観的まとめてみました。
ダウンヒルバイク 高速域の安定性 10 転回性能4 軽さ3
エンデューロバイク 高速域の安定性 8 転回性能6 軽さ6
TRANCE X 高速域の安定性 7 転回性能8 軽さ7
10点満点中
競技を考えなければ、これ1台でどのスタイルでも楽しめますし、フィールドを選びません。純粋にどこにでも持っていけるのでめちゃくちゃ楽しいです。
今回の私のカスタマイズについてご紹介します。
【ハンドル周り】
ステムはIndustry nine のA35ステムのカラーはCombi をチョイス。フェイスプレートはブラックの本体はシルバーの組み合わせにしてみました。
【ドライブ周り】
こちらは当店でも大人気のFORMOSAアルミクランクとFORMOSAのDMチェーンリング(30T)
それぞれシルバーとブラックが選べますが、今回はステム同様クランクはシルバー、チェーンリングはブラックという仕様にしてみました。今や定番のナローワイドチェーンリングなので、チェーンデバイスがなくてもチェーンが脱落しません。
スピンドル(クランクの軸)は30mmの極太仕様なので剛性が高くペダリングの効率の良さだけではなく、ライディング時の安定感も高いので非常にオススメです。(ちなみにSRAMはDUB規格は28.99、RACE FACEは30mm)
コンポーネントはSHIMANO XTR(M9100)を採用。過酷な状況下でも、確実なシフティングとブレーキングが保障された最高のパーツです。ブレーキは4ポッドキャリパーで、ローター径はフロント200mm、リア200mmのダウンヒルレベルの制動力を確保しました。
フレームはアルミフレームですが、剛性がオールマウンテンとしての剛性が足りないと言うことは感じません。トラニオンマウントやマエストロリンク、最先端の上級アルミニウムが採用されGIANTの最先端の技術が組み込まれていますので、後輪にかけても十分な強度、剛性がありますよ。
ちなみにGIANTが誇るこのマエストロリンクというリンク機構は、ペダリング時にはリアショックの動きが非アクティブなり、路面から突き上げやブレーキングに対しては独立してアクティブに稼働してくれるという優れものになっています。 更には路面からの突き上げすらも推進力に変えてくれる優れものですので、一言でいうと「めっちゃ最高なバイクです!!」
「上るリアショックをロックアウトさせればいいじゃん」と思うかもしれませんが、実際の所ライディング中にいちいち切り替えている余裕がないんですね。
今回も下りの反応性を高めるためコイル式のリアショックを採用しました。
先に述べたトラニオンマウント仕様のDVO JADE Xです。
フレーム下部の大部分にプロテクターが貼られていますので、飛び石によるフレームへの傷なども防げますね。
ペダルはHTのME03フラットペダル 軽量かつ強固なマグネシウムボディを採用した超高級もでる。ピンの絶妙な配置とペダルの踏面の形状が、悪路でもシューズにしっかり食いついてくれますので、高速時も安心です。
フロントサスペンションはDVO DIAMOND 170mm オールマウンテンカテゴリーと最高に相性の良いストロークと反応性の高さ、更にはメンテナンス性の高さが売りのサスペンションです。
カスタマイズは語り尽くせませんが、私実はGLORYも所有しておりまして、GIANTが誇る今は国内でのラインナップはなくなってしまった。名機GLORYちゃん。オールマウンテンとダウンヒルを2台持ちの方ってMTB乗りの人たちならそこそこいらっしゃると思うんですが。
正直国内で自分の使い方ならTRANCE1台で結構満足できちゃうんじゃないかと最近感じ始めてしまっています…
国内でもダウンヒルレースに出るなら厳しいですが、エンデューロレースであれば十分戦える仕様になっていると思います。
下りの性能でいうと一般的には下記のような位置づけになりますが。
ダウンヒルバイク>エンデューロバイク>オールマウンテンバイク>トレイルバイク>クロスカントリーバイク
今回のTRANCE Xはエンデューロバイクとオールマウンテンバイクの間ぐらいの性能になっていると思います。
最近はエンデューロバイクの中にも、ダウンヒルバイクに限りなく近い性能にチューニングされたバイクもあるぐらいですので、年々MTBの各カテゴリーの位置関係も微妙に変化しているんですね。
いかがだったでしょうか。
GIANTが誇る大人気バイク【TRANCE X】シリーズ 今期もまだまだMTBはご案内可能ですので、乗り換えや新規で始めてみたいという方いらっしゃいましたら、ぜひお問い合わせ下さい。
以上 bikeport小林でした。
bikeportグループではイベントも毎月開催しています。
ぜひお気軽にお問い合わせくださいね。
グリーンシーズンは、MTBパークに遊びに行きます。MTBパークってどんなところだろう?
MTBのドリームビルド動画、スタッフのバイクカスタマイズ、好みがあうならお店へGO!!
オフシーズンはパンプトラックへ MTBに乗れない季節はありません。
トレイルツアーってどんな感じ?