皆様、こんにちは!!
bikeport新宿都庁前店の奈須野です。
ある日のことでした。
新宿都庁前店の山本スタッフは全国の地理、道に明るく、ロードバイクで走ると愉快なコースをたくさん知っております。
そこで、次の休日に、福島県あたりで良いコースはないかな、と山本スタッフに水を向けたところ、磐梯吾妻(ばんだいあずま)スカイラインがおすすめですよ、とのことでしたから、では行ってみるかと往復の新幹線の切符を予約致しました。
本日の予定ルートです。
東京駅まで自転車で行きます。
東京駅の外観は渋く、好きな駅舎の一つです。
今回は日帰りということもあり、荷物は少なめに致しました。
午前7時12分の新幹線に乗ります。
余裕をもって東京駅に到着したため、待合室でしばし休息します。
周囲は、ワイシャツ、スーツを着た成人男性ばかりであります。
平均的な駅構内の様子と異なるため、少しだけ笑みがこぼれました。
新幹線に乗り込みます。
東北新幹線は北に行くほど田んぼが増えて広々としていくため、なんだか日本の原風景に戻っていくタイムマシンのようで、嬉しくなってしまうのです。
福島駅に到着致しました。
巨大わらじが展示されておりました。
少しお腹が空いたため、近くのスーパーで買い出しをします。
普段、生活している地域と異なる場所に行くと、見慣れない食材、商品があるため新鮮で、楽しいです。
いずれも、東京では見たことのないものです。
どことなく、キュートな感じが致します。
準備万端、出発です!!
ゆったりとした坂をのぼっていくと、目的の道である、磐梯吾妻スカイラインの看板が見えてきました。
なんだか急に斜度がきつくなってきました。
あまり余裕とはいえません。
斜度11%!?
これはなかなかの斜度と言えましょう。
ふと、歌が思い浮かびました。
我が胸の
燃ゆる思いにくらぶれば
まだまだ緩(ゆる)し
磐梯(ばんだい)の坂
ひたすらにヒルクライムを続けると、小さな集落、温泉街に到達しました。
給水をして、ヒルクライムを続けます。
ん?
標高1000メートルですか。
なかなかに登りますね。
白樺の峰
標高1140メートル。
峰といえばピークということですから、すなわち頂点、これで終わりかと思いきや、まったくゴールが見えません。
見晴台に到着します。
見晴らしは良いのですが、すでにボトルのお水は残りわずかです。
んん?
真夏のヒルクライムで、給水ポイントが無いというのは、致命的であります。
天狗の庭
標高1340メートル
井上靖さんが素敵な地名を命名しておられます。
素晴らしい。
素晴らしいのですが、一向にゴールが見えません。
ボトルのお水が無くて、死にそうです。
しかし!!
それがとつてもなく楽しいです。
これほどまで絶望的に水が足りないヒルクライムは、実に久しぶりであります。
楽しくて、自然と笑みがこぼれます。
もっと来い!!
もっと来い!!と思いながら登り続けると、風景が一変しました。
この山肌の様子は、何か有毒ガス、強酸性の水が滲み出て、そもそも生物が生存できない環境である、と推察されました。
青森県恐山、群馬県草津白根山のあたりと良く似ています。
来ました!!
おそらく、硫化水素ガスが充満しているので、危険である、とのことでしょう。
しかし、私はこの看板に問いたい。
閉める窓など無い場合は、どうすれば良いのかと。
ガスの影響か、周囲が曇っています。
標高1500メートル。
ちょっとしたお散歩のつもりが、とんでもない高さまで登りました。
素晴らしい景色です。
日本、いえ、この地球では無いような、不思議な光景です。
浄土平、という場所に到着しました。
人気の観光地のようで、たくさんの車が止まっておりました。
お山の頂上まで行けるようです。
ここまでのヒルクライムで、予想の3倍ほどの時間がかかっており、これ以上の寄り道をするべきか否か、少し悩みました。
しかし!!
行かないで後悔するのであれば、行って絶叫したい。
私は敢然と頂上に向かいました。
ぬおーーーーっ!!
これはすごい。
噴火口がそのまま見えます。
お写真では距離感、遠近感がほとんどわかりませんが、実際の火口はとんでもなく巨大、凄まじい深さで、柵も手すりも無いにもかかわらず、眼の前から普通にころりんと転げ落ちそうな断崖になっております。
なんと!!
火口の周囲を歩くことができるようです。
しかし。。。
一周した場合、ただでさえ遅れている予定が、さらに遅延することは必定です。
しかーーーし!!
状況の変化に応じて、柔軟に対応するのが旅というもの。
強く好奇心を刺激されたものを無視することなぞ、自分自身に対する裏切りに等しい!!
私は自分に正直に生きたい。
火口の縁に向かっていきました。
ぬおお。。。
これは凄まじい。
東京に居てはとても体験することのできない光景。
吾妻小富士を後にして、さらに進みました。
まだヒルクライムは続きます。
標高1622メートル。
どうやらここが最高地点のようです。
今度こそはダウンヒル続きとなることでしょう。
井上靖さんのネーミングセンスが、ズバズバと心に突き刺さます。
ここまでわざとらしいといいますか、普通、RPGではないのですから、見る側が気恥ずかしくなような、壮大すぎるな地名はなかなかつけようと思いませんが、それをためらいもなく命名してしまう、井上靖さんに万雷の拍手を送りたい。
一気に1000メートルほど下ります。磐梯吾妻レークラインという道を通って、喜多方に行くのが当初の予定でございましたが、獲得標高は1900メートルを越え、磐梯吾妻スカイラインでほとんどの時間を費やしたため、大幅にコース変更をします。
猪苗代まで降りて、猪苗代湖を拝見し、そこでゴールと致します。
美しいです。
東北地方は、美しい水田が多くて、本当に心が洗われます。
70kmぶりに食料品店がありました。
ありがたい!!
猪苗代湖に到着しました。
面積では、日本で4番目に大きい湖です。
磐梯山です。
美しい。
野口英世さんの生家があったため、立ち寄りました。
閉館まで30分ほどでしたが、穴が開くように猛烈に集中して拝見しておりました。
志の高い方の言葉に触れると、魂が震えます。
野口英世さん着用のスーツ。
ダンディです。
17時30分に閉館となるため、制限時間いっぱいまで、滞在しておりました。
外に出ると、美しい夕日が見えました。
名残惜しいですが、帰路につくことに致します。
猪苗代駅から郡山駅まで移動します。
僭越ながら、私も日本全国を自転車で巡っておりまして、地方ではまま見る光景でございますが、駅にどなたもいらっしゃらないのです。
移動手段が完全に車に移行していて、電車は利用しない、そういう街、地域を数多(あまた)見て参りました。
東京に住んでいると信じられないことでございますが、日本の地方では鉄道がどんどん廃線になっているのです。
郡山駅に到着しました。
郡山は、東西南北の道の結節点、明らかに重要都市、戦略上の重要拠点と言えましょう。
駅舎も立派です。
なすの号という名前に、どうしてもピクっと反応してしまいます。
新幹線に乗って、東京まで戻ります。
日帰りの旅でございましたが、素晴らしい体験を致しました。
後日、山本スタッフに、とんでもないヒルクライムであったと、若干抗議じみてお話をしたところ、おすすめはしましたが、楽だとは言っていません、とのことで、天晴(あっぱれ)な回答でございました。
もうダメかも、と思うようなツーリング、ヒルクライムを求めて、これからもお散歩を続けていく所存でございます。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeport新宿都庁前店の奈須野でした。