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新宿都庁前店 / Fulcrum Racing Zero フルクラム レーシングゼロ / どこが悪いかを診断する

皆様、こんにちは!!
bikeport新宿都庁前店の奈須野です。

自転車屋さんというのは、必ずしも車体、パーツを販売したり、修理をするだけがお仕事の内容ではありません。
今回お越しになったお客様は、ホイールの調子が良くないので、どこが悪いのか診断してほしい、というご依頼でした。

ホイールを拝見すると、Fulcrum Racing Zero フルクラム レーシングゼロ。
アルミホイールの一級品で、価格は¥151,800 (税込)です。
即、レースで活躍できる反応性の高さ、剛性の高さを備えながら、重量が1,400gほどと、軽量なのも魅力です。

お客様に、診断料として¥2,200-3,300(税込)ほどかかる、とお伝えをして、ご了承を得ました。


ホイールをお預かりして、あれこれ触っておりますと、フリーボディの動きがよろしくありません。
これは、フリーボディに緩みがある、あるいはフリーボディ内部のベアリングが破砕している、のどちらかだと思われます。

早速、分解してみましょう。


慎重にハブを分解していきます。


フリーボディを取り外します。


外れました。


ハブ軸そのものは損傷していないようです。
ただし、グリスが相当、汚れております。
これは単なる汚れというより、さび、鉄粉が混じったような汚れです。
つまり、どこか破損している可能性が大であります。


ラチェット、ツメを確認します。
このギザギザが、フリーボディの空転するときの音の個性になっています。
チキチキチキ、ジーーーー、じゃあああああああ!!という様々な音がありまして、ホイールメーカー、モデルによってラチェット音が違うのが楽しいところです。


余談になりますが、ラチェット音を上げたいときは、グリスの粘度を意図的に下げ、量も最小限にします。
こうすれば、お手軽に!?爆音ホイールの出来上がりです。
逆に、ステルスホイールとでもいいましょうか、静音なホイールをお求めであれば、グリスの粘度を上げ、量を増やします。
(ただし、グリスを減らすとラチェットの摩耗が早くなり、グリスを増やすと回転抵抗が増えます。非常に悩ましいですが、お好みの妥協点を見出すしかありません)

ともあれ、ラチェットに削れは無いようです。


フリーボディを見てみましょう。
発見しました!!
不調の原因はこれです!!

一瞬何がなんだか分かりませんが、スタッフ山本が持っているのは、ベアリングのリテーナーとベアリングの残骸です。
リテーナー retainer とは、その名の通り、保持するモノということで、千手観音さんのようにいくつも手が広がって、何十個ものボールベアリングを円状に保持しておくパーツです。
フリーボディ用ではありませんが、以下のようなものです。

画像引用 TIOGA


このリテーナーと、リテーナーに挟まっていたであろうベアリングが、ことごとく破砕、さらにさびで赤茶けておりました。
これでは、まったくベアリングが無い状態でフリーボディを回転させていたわけで、とんでもなく抵抗が増えることでしょう。


原因を解明することが出来ました。
そして、これを直すためにはフリーボディ交換が必要で、パーツ代、交換工賃を含めて¥20,000ほどになる、とお伝え致しました。

お客様は新しいホイールをご検討になる、とのことで、今回のミッションはコンプリートであります。
調査費用として¥2,200を頂きました。

このように、bikeport新宿都庁前店では、様々なご依頼をお受けしております。


本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeport新宿都庁前店の奈須野でした。

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