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薄れゆく意識の中で 400kmブルベ その4 完

皆様、こんにちは!!
Bikeportスタッフの奈須野です。

天に祈りを 400kmブルベ その3 麦草峠の続きとなります。
ブルベ(Brevets)とは、フランス語で「認定」を意味する言葉で、制限時間内での完走を主目的とするロングライドイベントのことです。


最難関の麦草峠を超えて、しばらくはダウンヒルが続きます。
周囲はすでに真っ暗で、雨の中、街灯も何もない峠を下っていきます。
1600ルーメンのライト1基、400ルーメンのライト2基、100ルーメンのライト1基で前方を照らしますが、わずか数メートル先くらいしか見えません。

その時です!!
急に前方に人影が見えた気がしました。
私は、ものすごい恐怖におそわれ、つい、ブレーキをキュッと握りました。

すると、後方で、キキーーーーーっ!!という爆音が聞こえました。
どうやら、ダウンヒル中に私の真後ろに付けた方がいたようで、その方のライトによって私自身の影が道路に写り、それを私が人影と誤解したようでした。

私自身はフルブレーキをしたつもりはなく、やや強めにブレーキをしただけだったのですが、さすがに油圧ディスクブレーキ、豪雨の中でも制動力が落ちていないようでした。
さらに、今まで特に意識しておりませんでしたが、ダウンヒル間のブレーキをし続けていても、軽い力で済むため、指や上半身への疲労が少なくて済みます。
今回のブルベでも、複数の参加者さんから、雨の日はディスクがいいですね!!とか、ディスクブレーキ羨ましいです、とかお声がけいただきました。


八ヶ岳周辺は、一大別荘地になっているようで、ヒルクライム、ダウンヒル中に、結構な数の別荘を見かけました。
また、別荘地にあるおしゃれな洋食屋さんなどもあり、その中で、複数のカップルとおぼしき人々が、楽しそうにお食事をなさっている風景に何度も遭遇しました。
こっちは、土砂降りの中、真っ暗な峠をのぼったりおりたりしているのに、すぐそばでそのような風景を、これみよがしに見させられる。
闇の中、私は叫びたくなりました。

しかし!!
こういう自虐的なイベントはまったく嫌いではないため、私にはこれが面白い(本当!?)のです。


茅野市を過ぎて、甲府まで、ひたすらダウンヒルです。
あまりの疲労に、意識が飛びかけます。
その時です。
ラブリーチャンスぺたんこちゃん
ラブリーチャンスぺたんこちゃん
という歌が聞こえてきました。

これは!?
自転車漫画の金字塔、弱虫ペダルの挿入歌、ラブヒメです!!
私はハッとして、急に元気が出てきました。
周囲を見渡すと、やはり闇で、どうやら私の幻聴のようでした。
しかし、その幻聴が鳴り止まず、もうこうなったら、これはこれでいいや、とそのまま放置しておきました。

あまりの疲労に、脳内で勝手にラブヒメの曲が再生されていたようです。


武田信玄公のお膝元、甲府市を過ぎます。
甲府市周辺は、街灯も多く、かつ平坦道が続くため、今回のブルベでは一番難易度の低い地域でした。

が!!
山中湖に行くために、一挙に1000m近くまで、ヒルクライムです。
もはやここまで来ると、何個の峠を超えてきたのか、よくわかりません。
意識が何回も飛びますが、DEFYは直進安定性に優れており、少々ハンドルを操作しなくてもまっすぐ進んでくれます。
(半分冗談で記述しておりますが、意識が飛んでしまうくらい疲労している場合は、しっかりと休憩を取り、事故がないように最大限配慮すべきです)


よくわからないうちに、峠を超えました。
もう、1000m級くらいのヒルクライムなら、むしろ低いと思えてきました。
うっすらと円形に光がならんでおり、おそらくは河口湖周辺の建物の光でしょう。


河口湖に到着し、息つく暇もなく、そのまま富士吉田を超えて、山中湖に到着しました。

ちょうどこのあたりくらいから、左足の付け根がヒリヒリと痛みだしました。
今まで、レーシングパンツを履いて何百キロ走っても、股擦れというのはしたことがなかったのですが、おそらくは雨具のパンツがよくなかったのでしょう。
雨具のパンツがレーシングパンツを引っ張って、擦れが生じたのだと思います。
しばらくは無視して走っておりましたが、ヒリヒリという感覚を超えて、もはやジンジン痛みだすほどになってきました。
(後に帰宅して、明るい場所が確認しましたところ、広範囲に血がにじむくらい皮膚が擦り切れてしまっておりました)

なんということでしょう。
左足の付け根が痛くて痛くてしかたなくなり、ほとんど左足を動かすことができなくなりました。
ぐおおおおおお!!

左足が動かないことがなんだ。
私にはまだ元気な右足がある。
私は右足と強引なダンシングで、本ブルベ最後のヒルクライムである、道志の峠をのぼっていきました。


このあたりから、疲労はすでに限界を超えておりました。
道端のLEDが参加者のロードバイクの尾灯に見えたり、道端の木が人影に見えたりといったことが頻発し始めました。
あまりの疲労に幻覚を見ているようで、それが20回はあり、私も最後の方はこれは幻覚幻覚、人があんな場所にいるわけはない、(ずーーーっと近づいて)、ほらね、と自分自身にツッコんでおりました。

道志の峠を登りきり、あとは50kmほどひたすらダウンヒルです。
右足を強引に使ったためか、今度は右足のヒザが激痛に襲われました。
ほとんど両足が動かず、坂の斜面だけを利用して、時速20kmくらいで降りていきます。
ダウンヒルが時速20kmなぞ、あまりにも遅すぎであり、途中、8人くらいの方に追い越され、少し残念な気持ちになりましたが、もはや生存して帰還することを最優先したい。

すべてを降りきり、なんでこんなところを走る必要があるの!?と思う相模湖周辺のナゾの峠を超えて、市街地に入り、ゴールしました。

時間は26時間15分。

なお、当日に参加した人は43名/102名で、約6割の方が棄権でそもそもスタートしていない。
私は19/27番くらいのゴールで、早くはないですが、生きて帰ってきたことだけで良しとします。

400km麦草峠のブルベリポートは今回で終わりです。
お読みいただき、ありがとうございました。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeportスタッフの奈須野でした。

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