皆様、こんにちは!!
bikeport新宿都庁前店の奈須野です。
本記事は
の続きとなります。
リアディレイラーが復活したので、先を急ぎます。
今日は湯村温泉という場所に泊まろうと思います。
たまには温泉のお宿に宿泊するのも悪くない、私はとてもワクワクしてきました。
道中は雨ですが、あと38kmで温泉!! 温泉!!とキコキコし続けました。
ハチ北という変わった名前の道の駅で休憩をしました。
ここからはダウンヒル続きで、一気に体温を奪われるため、ベースレイヤー(ベースレイヤーというと随分とおしゃれな響きですが、要するにウェアの下に着る、あったか肌着のことです)を着るために、お手洗いに向かいました。
上下ともベースレイヤーを着て、ウィンドブレーカー、レインウェアも着ます。
万全の態勢なのです。
一気に22km分ダウンヒルをして湯村温泉に到着しました!!
どこか入れる温泉はないかな!?と思って、ポケットを探りますと。。。
でっ
電話がない。。。
携帯電話がありません!!
バッグの中にも、ウェアのポケットにも、どこにもありません!!
私は戦慄しました。
現代人において携帯電話とは、お財布と同じか、あるいはそれ以上に財産的価値のある文物。
携帯電話というハードウェアが無くなったということもしんどいですが、それ以上に、ツーリング中に撮影した画像、動画データが無くなってしまうことが痛恨の極みなのです。
(バッテリの減りを節約するために、Google Photoの同期をツーリング中は切っているのです。)
しかし!!
まだ大丈夫。
かつて私はブルベという公道イベントで、走行中に雨と汗で携帯電話を壊し、写真撮影ができなくなったという経験がありました。
それ以後、常に携帯電話を2台持ち歩いているのです。
予備の携帯電話はフロントバッグの奥底にしまってありました。
メインの携帯電話が今どこにあるのか、私は気を落ち着かせて、どうすればいいのか考えました。
ところで、予備の携帯電話は、維持費をお安くするために、データ通信のみ、しかも回線速度を128kbpsという現代では激遅のものにしてあります。
(その分、毎月のお支払いが¥328(税込)で、万一のときの連絡用には役立ちます)
この回線速度で出来ることは。。。
そうだ、Google Timelineで現在地を調べれば、リアルタイムで、電話の位置が分かるに違いない、と考え、予備機からGoogle Timelineにログインしました。
むうううううう!!
14時ごろ、ベースレイヤー、すなわち肌着をお手洗いで着た時刻から、電話が移動してません。
これは明らかに、お手洗いに電話を置き忘れたか、親切な方が道の駅の事務所に届けてくれたかのどちらかです。
わずかながら希望が見えてきました。
現在地からハチ北までの道のりを検索します。
距離22km。
獲得標高458m。
荷物と車体を合わせると30kg近いバイクでこの距離、標高、さらに雨。
あらゆる悪条件が重なっています。
さらに、道の駅の事務所はあと90分で閉まってしまうのです!!
さらにさらに!!
地方の道の駅というのは、おうおうにしてこのようなことがあるのですが、明日はハチ北の道の駅はお休みです。
え?
道の駅がお休みって、そういうことあるの??
と聞き返したくなりますが、あるのです!!
ふがーーーーーーっ!!
もしかすると、電話がお手洗いの個室の中にまだあるかもしれない。
すこしでもリスクを低減するため、家族に電子メールで連絡をして、ハチ北の事務所の方に拾得してもらうようにお願いをしておきました。
なんとしても90分以内に、今ダウンヒルした行程を引き返さなければならない!!
私は必死の形相で踵を返し、今来た道を戻り始めました。
普段ならばインナーに落としたままのフロントギアを、数秒でも全開区間がある場合は、バシャンっバシャンっと変速をして、これまたほとんどしないダンシングをしながら、ふんがーーーーっと坂道を登っていきます。
もう、何が何だか、よくわからない状態で、登って登ります。
太宰治さんの走れメロス状態であります!!
ああ、陽が沈む。ずんずん沈む。
待ってくれ、携帯電話よ!!
なんということでしょう!!
私の祈りが天に通じたのでしょうか!!
人生で最速のヒルクライムを計測したのではないかというくらい、圧倒的に速く駆け上がり、疾風の如くハチ北の駅に突入しました。
時刻は17時40分。
湯村温泉から、70分後にハチ北に到着したのです。
お手洗いを見ますと、無い!!
私の電話が無い!!
ぷるぷる震えながら再びGoogle Timelineを調べると、電話は明らかにこのハチ北に存在している。
しかし、18時前だというのに、どういうわけか、すでに道の駅は営業を終了しています。
(後日、冷静に考えれば、コロナ禍の影響で営業時間が短縮され、Googleの表記と異なった営業時間になっている、というのはよくあることでございました。)
事務所らしき場所も開いていません。
これは。。。
明日になってみないとよくわからないかも。
しかし!!
明日は道の駅全体がお休みという。
日は暮れ、雨は降り、気温はどんどん下がる。
食料を買い出しするお店も無い。
万事休す。
一体どうすれば。。。
精も根も尽き果て、私は終わった、今回のツーリングは呪われていると思い、もうこの場で野営するしかないと、あまり好ましいことではありませんが、道の駅の脇の公園にテントを張りました。
(道の駅によっては、明示的にキャンプ行為を禁止している場所もあります。ハチ北の駅にはこのような掲示が無かったのと、道の駅そのものではなく、道の駅の脇の公園であったこと、夜間、雨で公園の利用者は皆無であったことなどから、緊急避難的にテントを張らせていただきました。)
すると、家族から電子メールがあり、私がハチ北に戻ってくる3分ほど前に、事務所の方が回収をして、明日は道の駅がお休みなので、近くの派出所に届けてくれているはずだ、というではありませんか!!
なんという天佑!!
幸いにも、その派出所はハチ北の駅から1kmほど行った場所でした。
私は貴重品だけ持って、テントは張ったまま、その派出所に向かました。
ありました!!
派出所内には、お巡りさんがいらして、机の上に私の電話があります!!
そして、10分ほど後に、拾得してくださった女性がおいでになりまして、報酬をもらう権利があるがどうするかというお巡りさんの質問に、その女性はいらん、いらんと豪快に答えて去っていきました。
なんという親切な方々でしょう。
今日はたくさんの方に助けられた一日でございました。
テントに戻り、倒れ伏し、呼吸もしないくらいの深い眠りに落ちて、その日は終わりました。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeport新宿都庁前店の奈須野でした。