皆様、こんにちは!!
bikeport新宿都庁前店の奈須野です。
GIANT ESCAPE RX2に乗ったお客様がご来店になりました。
お話を伺うと、フロントをシングル化したい、とのことでした。
1 フロントシングル化とは
この数年のトレンドで、フロントのギア、チェーンリングを1枚にする、というカスタマイズのことです。
(1) 利点
フロントが1枚になることで、当然ながらチェーンリングを1-2枚取り除くことが可能になります。
そして、フロントディレイラー、変速用レバー(シフター)、変速用ワイヤー類も不要になります。
これらのパーツが不要になることで、まず単純に軽量化できます。
今回のチューンナップでも、400gほどの軽量化に成功しました。
自転車における軽量性というのは極めて価値のある性能でして、10g軽くするために¥10,000価格が上がる、といったパーツもあるくらいなのです。
これが一挙に数百グラムも軽くなるのは、とんでもない性能上昇なのです。
さらに、フロントディレイラー、シフター、ワイヤーがなくなることで、メカトラブルの起きる頻度が半分以下になります。
メカトラブルとは、チェーンが外れてしまう、変速が不調になる、ワイヤーが錆びて交換が必要になる、といったことです。
とくにレースシーンにおけるチェーン脱落は深刻な問題で、車体の暴れるMTBが軒並みフロントシングルに移行済で、シクロクロスバイクも高級車はフロントシングルが標準になっていることからも、いかにチェーンを脱落せずに完走するか、というのは現代のスポーツバイクにおいては重要な問題なのです。
そのため、オフロードバイクにおいては、フロントシングル化は必要に迫られて実装されたテクノロジーといえましょう。
これに対して、オンロードバイクの場合は、脱落防止というよりは、その他の恩恵があることを重視して、フロントシングル化することになります。
次に、変速不調とは、フロントディレイラーでは、ままあることですが、アウターに入らない、インナーに落ちすぎてチェーンが脱落してしまう、といったトラブルと無縁になります。
なお、フロントシングル化とは、単純にチェーンリングを1枚にすれば良いのではなく、チェーンが脱落しにくいように、いわゆるナローワイドチェーンリングを使うことになります。
チェーンリングが狭い歯、広い歯と交互に並んでおりまして、それがチェーンをガッチリつかんで脱落を防止する、という仕組みになっています。
そして、ワイヤーも撤去してしまえば、錆びによる動作不良といったこととも無縁になります。
また、わずかではありますが、ワイヤー類も重量があるわけでして、軽量化につながります。
付け加えれば、オンロードバイクのフロントシングル化は、まだまだ流行しだしたばかりで、見た目が新鮮、新奇である、要するに、カッコいいということです!!
(2) 昔に実現できなかったわけ
上記のような利点のあるフロントシングル化ですが、どうして大昔に実現できなかったのかといえば、それは、昔のリアスプロケットは小さく、リアディレイラーの可動範囲も狭かったため、幅広いギア比を実現するためには、フロントも可変にする必要があったからです。
しかし、現代では、リアディレイラーの可動範囲が驚異的に広がりまして、MTBの世界ではスプロケットも最大51Tとか、フロントチェーンリングよりも大きいくらいの、お化けのようなスプロケットが存在します。
オンロードバイクにおいてもこの波は押し寄せておりまして、最大34Tといったスプロケットはごく一般的になりました。
つまり、フロントを敢えて可変にしなくても、リアディレイラーだけでかなりのギア比を実現できるようになり、フロントディレイラーの役割がそれほど重要でなくなった、ということです。
(3) 短所
利点ばかり申し上げて、短所を申し上げないのは不公平ですから、申し上げますと、当然ながらフロント複数枚の状態に比べるとギア比選択の幅が狭くなります。
特に、超軽いギアといったものをフロントシングルで実現するのは難しいでしょう(不可能ではありませんが、ヒルクライム専用マシンとなります。平地ではあまりにも低ギア比で走りにくいと思われます)。
さらに、フロントが複数枚あれば、可能な限りチェーンラインがまっすぐになるように、フロントで調整可能ですが、フロントシングルの場合は、このようなワザが使えません。
つまり、チェーンラインが斜めになることもあり、駆動効率という点では最上とはいえない、また、斜めのまま駆動することでフロントチェーンリング、チェーン、スプロケットの摩耗が、フロント複数枚に比べると早くなるのは避けられない。
といった点です。
2 使用パーツ
(1) チェーンリング
現在は、フロント2枚、46/32Tのものが搭載されています。
さて、理論上の説明はこのくらいにして、フロントはWOLF TOOTH ウルフトゥースのチェーンリングを使うことにしました。
48Tのもので、完成車状態では46Tが入っているため、少し重くなるカスタマイズとなります。
オーナー様が、ほとんどフロントアウター、リアトップ周辺くらいしかお使いにならない、豪脚の方のようでして、フロントシングル化をするにあたってチェーンリングを大きくする、というのは珍しい例です。
WOLF TOOTHは私も大好きなブランドの一つで、いつくかのパーツを使用しております。
アメリカの高品質アルミ削り出しパーツなどを開発しているプランドです。
新宿都庁前店 ロードバイクにMTBスプロケットを搭載する!! ギア比0.76で無敵の登坂力を実現!! Wolf Tooth Tanpan ウルフトゥース タンパン!!
チェーンリングボルトは、チェーンリングに合わせて、ブラックのものにすることに致しました。
(2) クランクセット、BB
クランクセットは豪華にSHIMANO 105へ換装。
(クランクセットのみ、お持込みとなりました。)
あわせてBBもホローテックIIに換装。
これら両者のアップグレードにより、大幅な剛性アップが期待できます。
(3) 撤去パーツ
フロントディレイラー、フロントシフター、ワイヤーは撤去。
(4) その他
フロントチェーンリングを2T大きくすることで、チェーンの長さが足りなくなるようであれば、チェーンを交換する。
以上の内容で、パーツ代を含めて¥27,062になる、とご了承を頂きました。
パーツを発注して、作業開始です!!
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeport新宿都庁前店の奈須野でした。
新宿都庁前店 日常あるいは平穏な日々 / YAMAHA PAS Natura チェーン滑り解消 チェーンリング、スプロケット交換