皆様、こんにちは!!
Bikeportスタッフの奈須野です。
春になりまして、新しくスポーツバイクで通勤、通学したい、というお客様が多数、来店なさる時期になりました。
しばしばお受けするご質問として、クロスバイクとロードバイクは何が違うのか、というものがあります。
本日は、そのご質問に対する概論を述べます。
もちろん例外はありますが、クロスバイクとロードバイクのどちらを選ぼうか悩んでおられる方の一助となればと思います。
1 目的が違う
(1)そもそも、クロスバイクという用語は、あくまで通称であり、明確な定義は存在しません。
例えばGIANTでは、クロスバイクと銘打った車種は存在しません。
あくまで通称として、スポーツカテゴリ、ライフスタイルカテゴリのバイクたちをクロスバイクと表現しています。
結論から申し上げると、クロスバイクとロードバイクの最大の違いは、目的が違う、ということです。
(2)クロスバイクは、短距離(乗り手の体力に大きく依存しますが、走行距離50km以下くらい)を短時間(これまた乗り手次第ではありますが、2時間程度としておきます)、快適に走ることを目的に開発された車種です。
そして、走る場所は、舗装路が主体で、特殊な訓練、経験が無くても乗りこなしやすい操作性を備えていること、などが求められます。
さらに、いきなり本音が出ますが、クロスバイクは日々の足として使うことを主目的として開発されている(ことが多い)ため、購入費用、維持費が低く抑えることができるように設計されています。
(3)これに対して、ロードバイクは、長距離(50km以上くらい)を長時間(2時間以上くらい)走行するときに、快適に走ることを目的に開発されています。
さらに、エネルギー効率、加速性、旋回性能に優れている、という点も備えているため、短距離、短時間であっても、レースといった限界を求められる場面にも対応することが可能です。
このように、クロスバイクとロードバイクは使用目的が異なります。
2 目的の差異が車体の変化を生む
(1)目的の差異が、それぞれの車体に少しずつ変化を与えていっているのです。
短距離を短時間乗る、という場合、わざわざ自転車に乗るためのウェア、靴などを用意するのはおっくうです。
普段着で、さっと乗れて、さっと降りることができたほうが便利。
ほとんどのクロスバイクのペダルは、フラットペダルという平らなペダルで、自転車専用のシューズでなくても乗ることが可能です。
さらに、サドルもロードバイクに比べると幅広、クッション性に優れるサドルが多く、パッドが入っていない普段着、ウェアでもお尻が痛くなりにくいです。
(2)そして、さっと降りるためには、重心が高くないほうが楽です。
ロードバイクはBBハイトなどを上げて、重心を高くすることで、素早いコーナリングができるように設計されます。
しかし、クロスバイクで急激なヘアピンコーナーやクランクなどを通過する必要があるかといえば。。。無い。
そこで、重心を下げて、乗り降りがしやすいようにする、フラフラしにくくなり、直進安定性が増すという点を強化しているのです。
(3)クロスバイクはアルミ合金を使うことが多く、アルミ合金のフレームであれば、局所的にチカラが加わってもフレームのダメージが出にくいため、スタンドをつけることが可能です。
スタンドあれば、普段の通勤、通学、お買い物にも便利です。
(4)これに対して、ロードバイクは長距離、長時間乗ること、あるいは、競技志向のバイクです。
ロードバイクであれば長距離、長時間乗ることができる、という理由は、まず、ドロップバーハンドルを採用している点が大きいです。
ドロップバーハンドルは、横から見るとひらがなの「つ」みたいな形状をしておりますが、この形状によって、3箇所以上、ハンドルを握る位置を変えることが可能になります。
ハンドルの位置をちょこっと変えたくらいで、そんなに変化があるの?とお思いになるかもしれませんが、人間の体というのは、膨大な数の筋繊維によって制御されておりまして、同じような動き、力を加えようとしても、わずかに姿勢を変えることで、使う筋繊維が変化します。
使う筋繊維を変化させることで疲労度を軽減することができる、それがドロップバーハンドルの利点です。
さらに、ハンドルバーの下を握ると、前傾姿勢が強くなり、前面投影面積が減ることで空気抵抗が軽減、さらに上半身の力を入れることが可能になって、推進力が増す、というわけです。
(5)長距離走るためには、高いエネルギー効率であることが望ましいです。
ロードバイクの車体(フレーム)はクロスバイクに比べて高剛性であることがほとんどで、高剛性の何が良いかといいますと、踏み込んだ力を、より推進力に変えることができる、速度が出る、ということです。
さらに、高剛性の利点は、反応速度が上がるということ、つまりレースシーンなどの急加速、急減速が必要な場面でも、即応しやすくなります。
ロードバイクのほうが旋回性能に優れる、というのは、フロントフォークの角度がロードバイクのほうがより直立していたり、BBハイトが高かったり、チェーンステーが短かったりといったフレーム各種の設計が、クロスバイクとは異なるからです。
加速度に優れるというのは上述しましたフレーム剛性もそうですが、ロードバイクは、クロスバイクに比べると、ワンサイズ細めのタイヤを履くことが多く、細いタイヤは内部のエアボリュームが減るため、クッション性が犠牲になる代わりに加速性、反応性が良くなります。
(6)さらに、購入なさる方にとっては、ここが一番重要かもしれませんが、お値段が違います。
クロスバイクのボリュームゾーンはGIANTであれば、5-7万円くらいです。
ロードバイクの場合は、価格の幅が広いため、どこがボリュームゾーンというのは悩ましいところですが、15-20万円くらいと、ここでは申し上げておきます。
もちろん、GIANT ESCAPE RX1などは、いわゆるクロスバイクといえますが11万円、CONTEND 2はロードバイクで8万6000円と、逆転現象が起きており、例外はあります。
初期投資が異なるということ、さらに大きなポイントとしては、維持費も異なるということです。
クロスバイクのパーツのほうが、ロードバイクのパーツよりも安価であることがほとんどで、同じ期間、距離を走ったとしても、クロスバイクのほうが維持費が安く済みます。
こういった維持費の安さという点もクロスバイクが普段遣いに便利という理由の一つとなります。
3 結局は個人の価値観次第
(1)しかし!!
しかし、です。
ここまで長々と申し上げておきながら、恐縮ですが、ほとんどの方にとって、自転車に乗るという行為自体はビジネスでも、お金稼ぎでもない。
もちろん、通勤、通学といった実用面はありながらも、同時に、趣味、運動、気晴らし、なんとなくカッコ良さそうだから、といった側面もあります。
このように、趣味という側面に重きを置くのであれば、結局は自分がどう思うのか、どう感じるのか、ワクワクするのかといった要素が重要になると思われます。
近距離、短時間の通勤、通学にはクロスバイクが便利。
確かに、そうです。
しかし、ロードバイクで通勤、通学したところで、自分がワクワクする、楽しいのであれば、何の問題も無い。
維持費の面も、丁寧に扱ってあげれば、(実を申し上げると)ロードバイクのパーツのほうが耐久性に優れており、長寿命で、維持費に極端な差異は無い。
このように、身も蓋もないお話になりますが、最終的には自分がなんとなく好きな方、ワクワクする方を選んでも大丈夫です。
人間の行動など、論理的でないことも多々あります。
見た目が気に入ったのでこのバイクにした。
大いに結構であります。
(2)横浜西口店では、様々なクロスバイク、ロードバイクの試乗車をご用意して、実際に複数の車体を乗り比べることが可能です。
論理的な説明、非論理的な説明など、スタッフが皆様のお悩みに対応致します。
バイク選びでお悩みのときは、いつでもご来店ください。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeportスタッフの奈須野でした。