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【コラム】愛され続けるブランド、愛され続けるショップになる為に—。

自転車屋というのはどうしても「お天気商売」な所があるので、雨が強いと軒並み客足が落ちる。
大分昔に自転車量販店アルバイトしていた時、出勤前に雨が降るとよく店長から「今日は雨だから休んでくれないか?」と電話が来たもんだ。
けれどそれは量販店での話で、今の僕はそんな雨の日を「作業日和」「ブログ日和」と呼ぶことにしている。
誰にも邪魔されず、淡々と一つの事務仕事、作業や書き物に集中できる日もたまにはあっていいと思っている。

今日も台風の前を匂わせるような雨に打たれながら出勤した。
いつも通り開店作業をした後にPCを起動して、メールチェックをして自社のブログをチェックする。
ブログカテゴリーの所に目をやると「COLUMN(コラム)」の欄がある。
「そうだ、WEBサイトを改修した時にカテゴリーを追加したんだった。」と思い出す、、、
押してみるが殆ど書かれてない。。。笑

商品紹介やイベントの事でもなく、何かお店と関連するお客様にとっても有益な情報を書くカテゴリーだったはず。
スタッフ全員、誰もあまり書かないカテゴリーだから、そっと忘れ去られていた。
だから今日こそ自分も何か書いてみようと決めたものの、果たして何を書けばいいのかと自分との葛藤があり、気付けば写真の無い文字列だけが画面に並ぶのだった。苦笑
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せっかくだから、日頃よくお客様に尋ねられることを書いてみようと思った。
幾つかあるのだけれども、今回のテーマはbikeportの主要取扱いブランドについて。
なぜ「GIANT」と「CANNONDALE」なのか?もちろん他のブランドの取扱いも存在するのだが、メインはやはり前述の二社。

メーカーの品質保証やサービス体制、市場に対して適正な価格や内容なのか、ちゃんと国内で、そして当店でアフターフォローできる車体なのかなど、そんなことは勿論吟味して選んでいる。
(それ以外にも販売する上での商圏上の問題やbikeportの信用力など、権利やお金などの大人な問題も交わってくるが、ここでは触れる必要はない。)

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話は逸れてしまうが、小学生の頃、初めて親に買ってもらった自転車はホームセンターの26インチMTB(所謂ルック車)だった。
補助輪のついた自転車には乗ったことはなかったが、20インチ、24インチ、、、と一般的な過程を経ているのだから、厳密には初めて買ってもらった自転車ではない。
自我が芽生え初めて自分から欲しいと思った自転車がそれだった。だから自分の中の始めての自転車はそれだということにする。

もちろんながら、初めてのMTBはとても嬉しかった。ボトルケージを付けて、エンドバーを付けて、三角ポケット(今で言うフレームバックのサドルバックくらいの大きさのやつ)を付けてと。
しかしMTBを購入して心躍らせながらも時が経ち、後にそれが「本当のMTB」ではなかったことに気付いて僕は落胆することになるのだ。苦笑

インターネットが普及した今、現代人はスマホやPCを使い一度にとてもとても多くの膨大な情報を吸収することが出来る。
「MTB」や「マウンテンバイク」と検索すれば、膨大な情報が溢れ返り、プロ選手が華麗に山を走る迫力のある動画も簡単に見れるだろう。
だが、僕が書いているこの時代はそうではなかった。

とある日の出来事、借りたビデオテープを返却しにレンタルビデオ屋に足を運んだ。その時に「MTBのビデオってあるのかな?」とふと脳裏に思った。
その時はまだMTBが何なのかすら良く把握出来ていなかったし、土や草の上を走れる自転車という抽象的なイメージしかなかった。
「土や草の上を自転車が走るだけのビデオ」を観て何が楽しいのだろうか?と自分に言い聞かせたが、好奇心に揺られてスポーツのビデオコーナーの前に居た。
品ぞろえが良くないのか、それとも当時はかなりのマイナースポーツだったからなのだろうか。それはわからないが、自転車ジャンルのビデオテープはたったの3~4本だった気がする。
恐らくツールの特集か何かだろうと思われるロードバイクのビデオ、そして平成初期の匂いがプンプンするような「マウンテンバイク入門何とか」と書かれたビデオ。あまり興味をそそられなかった。笑

案の上「やらかす」のであった僕は。一番過激なパッケージのものをに手を伸ばす。
TRICK&STUNTS。当時は有名だったこのビデオを知っているあなたは古くからのMTBライダーか相当なマニアだろう。
(出演者ののMARTYN ASHTONは現在、下半身不随になってしまったが、最近海外のMTB系メディアにある下半身不随になったままダウンヒルをする動画は有名だ)

ビデオの内容は実はMTBではなく厳密には障害物を越えていくトライアル競技なのだが、それがMTBというのは間違いでもあり正解でもあった。
競技種目の境がわからなかったが、当時の僕にはそれが「本当のMTB」であって、華やかな技の数々に魅入ってしまったのは確かなのだから、別にそれで良かったのだ。

ビデオのダビングと言う言葉はもう死語かもしれない。今で言うダウンロードに近い感覚だろうか。
もちろんビデオを返却した後もダビングしたビデオを見ていた。
ある意味では本当のMTB、自分の知らなかった世界、いや、知りたかった世界を堪能していたのだ。

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ところで。話を唐突に戻してしまうが、何故こんな話になったかと言うと、
この時、主人公の二人が乗っていたバイクが「GIANT」と「CANNONDALE」だったからだ。
それは僕が井から大海に出て初めて知ったスポーツバイクブランド―。とてもカッコよく目に飛び込んできた。

雀百まで踊り忘れずという諺があるが、僕が初めて知ったスポーツバイクブランドこの二つだったのだから
今でも僕の中で、スポーツバイクの代名詞は「GIANT」と「CANNONDALE」なのである。
結果、だから僕が開業したbikeportはこのカタチになったのかもしれない。
今の取扱いブランドは成るべくして成った気が止まない。

その後も他のビデオや雑誌を読むようになり、更には隣町のスポーツバイク専門店にも足を運ぶようになり、
スポーツバイクの世界を探れば探るほど、多すぎるくらい色々なブランドが目に留まった。
当時物凄く人気があったブランドも今では聞かなくなった気がする。

流行ると言う事は同時にいつか廃れると言うことだと、よく色々な人が言っていた気がする。
強い印象で覚えるという事は同時に時間と共に忘れることも多いものだと思う。
自転車でなくてもそう。突然流行った音楽のアーティストやTV画面に映る人なども。
最近はお笑い芸人が流行ってすぐに消えてしまうようなニュースを読んだ気がする。
だから、bikeportでの取扱いは流行りのブランドでなくて良い。寧ろ流行っていなくても不易したブランドの方が良いのだ。
あなたが例えGIANTやCANNONDALEのバイクに乗っていなかったとしても、気付けばあなたのサイクルライフにそっと溶け込んでいる。
どこのでその名前を覚えたのか、どこで見たのか聞いたのかわからないけれど知っていた。もしかすると友人が乗っていたからかもしれない。
そしてあなたは気付けば多少なりとも興味をそそられ、カタログを読んでいる。

借りたビデオテープの中のヒーローも、僕が興味を持ったあの時代も、それから先の時代も、
少し前のジロ・デ・イタリアでも、ツールでもそう。ロードでもMTBでもそれ以外でも、自転車の話題のある所に必ず何処かの時代のヒーローはGIANTとCANNONDALEに乗っている。

当たり前のことなのだけれども、bikeportという店を5年、10年、20年とこの先続けるつもりである。
だからとてもとてもとても長いスパンで付き合える主力ブランドがどうしても必要だった。

結論の答えは単純で、長く愛される店にしたいから、長く愛され続けているブランドが良いと思っただけである。

投稿者 福田

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