皆様、こんにちは!!
bikeport新宿都庁前店の奈須野です。
ある日のことでした。
お電話のお問い合わせがあり、EASTON (イーストン) のホイールを使っているのだが、一部スポークが曲がってしまって、直してもらうことは可能か、というものでした。
bikeportはEASTONの正規販売店でありまして、EASTONの補修用スポーク、リムなども多数取り揃えております。
私は可能ですとお応えして、後日、お客様がご来店になり、ホイールをお預かりしました。
ところで、EASTONのホイールは、日本では超メジャーとはいいにくい知名度ですが、その性能は高く評価されています。
そもそも、EASTONとは、1922年に米国カリフォルニア州で設立された会社でして、当初はアーチェリー用の弓、矢などを製造するブランドでした。
そして、現在では、EASTONの矢は軽く、精度が高いため、オリンピック、世界大会決勝などでも使用されております。
そのEASTONが持ち前のカーボン成形技術を生かして、ロードバイク用のホイール制作にも事業の幅を広げ、現在に至っている、という訳なのです。
さらに、EASTONのホイールはすべてが熟練の職人の手組みとなっておりまして、廉価帯の製品はありません。
しかし、手組みならではの軽量性、精度は素晴らしいの一言で、ツール・ド・フランスなどに参加するトッププロにも愛用者が多数います。
さて、今回お預かりしたのは、EASTON EC90TT チューブラー カーボンディープリムホイールです。
価格は¥200,000ほどと思われます。
空気抵抗を低減するために、スポークは中央部がきしめんのように細くなっている、エアロスポークです。
通常のスポークよりも割高となりまして、一本¥800ほどです。
精査しますと、3本、スポークに歪み、ねじれがありました。
ホイールから取り外しますと、びょいーーーん!!とすごい勢いで曲がっていきました。
いままで凄まじいテンションがかかっていたためにそれほど曲がっていないように見えただけなのでしょう。
オーナー様の言では、リアディレイラーを巻き込んでしまった、とのことであります。
スポークの一本は、横方向ではなく、縦方向(バイクの進行方向)にひしゃげておりまして、相当な力が加わっていたのだと思われます。
ところで、現代のロードバイクは、年々進化を続けて、より軽く、より高剛性になって、より速く進むことが可能になりました。
しかし速度を追求するにあたって、最大の壁が、空気抵抗との戦いなのです。
いかに空気抵抗を低減させるかに各ブランドがしのぎを削っております。
ホイールについても同じことが言えまして、可能な限り空気抵抗を低減させるべく、EASTON EC90TTはニップルが外部に露出していません。
インナーニップルという構造で、そのため通常のニップル回しではニップルを回転させることができません。
専用の工具が必要になります。
今回は、Parktool社のインナーニップル回しを使いました。
歪んだスポークを交換して、振れ取りをしていきます。
今回は特に高価なホイールで、ご依頼者様もトライアスロンのレースに使用しているということなので、徹底的に精度を追求しました。
横振れ、縦振れともに、0.3mm以下に収まっていると思われます。
その分、工賃は通常のホイールよりもかなり割高となってしまいました。
スポーク代、工賃を含めて、¥11,000(税込)となりました。
本日はこのあたりで宜しいと存じます。
それでは、皆様、次回お会いするときまで、ごきげんようです!!
以上、bikeport新宿都庁前店の奈須野でした。
新宿都庁前店 / 高級ビンテージMTBを組み上げる / GIANT MCM TEAMモデル 2001 フルカーボン その1
新宿都庁前店 BRIDGESTONE RADAC ブリヂストン・レイダック オーバーホール / 日本最北端、最東端、最南端 / その1 打合せ編